【芝居】「オノマリコフェス」趣向
2023.06.25 13:00 [CoRich]
劇作家オノマリコの一人ユニットだった「趣向」に大川翔子、前原麻希が加入し劇団化したことを記念し、これまで(=オノマリコ単独時代)を振り返ると銘打つ2DAYS。ワタシは2日目の後半だけをなんとか(通し券じゃなくても良かったw)。6月25日まで神奈川県立青少年センター・スタジオHIKARI。
逗子開成中学のボート部の生徒を載せたボートが転覆した三男の行き先で出逢った、「泡」(waqu:iraz)
月に人類が降りた足跡を信じられないのに、数学含めて天才的で天真爛漫な長女、見合いはうまくいかなかったり。
父親はチベット仏教にハマり鳥葬をしたいと考え家をでてそれきり。弟はきちんと暮らしている。「わたしのお父さん」(坂本玲)
戸籍の婚姻関係(戸籍婚)には至らないケア婚という制度が導入時されて戸惑ったり意見を聞いたりしたいと思う人々が集う場。違和感もあるし、実績と思ってる政治家もいる。「べつのほしにいくまえに」ワークインプログレスリーディング・トーク
「オノマリコ×後藤浩明LIVE&クロージング」ライブ
「泡」はかつての海難事故を元に、亡くなった四兄弟の三男が見たもの、という体裁の物語。彼は見ていたかも知れないし、生きているかも。人魚の肉を食べたことで、息はしていなくても生きていて、人魚になったのだという鎮魂とも人々の望みともなる物語になっています。てっきりこのステージはダンスだけなのだと思っていたので、開宴ギリギリに汗だくで飛び込んで、実は意表を突かれました。まあまあの人数をたった四人で、しかも一つの役を役者たちをスムーズに入れ替えながらというのは、演出の役者を信じる力の結実。
「わたしの〜」は、実はワタシ初見です。天真爛漫で生きづらく暮らしづらいけれどギフテッドな娘をとりまく家族の物語。一つのことに固執しがちで、折角の見合いも、たった一つの父母の共同作業で頑張ったのに我関せず、兄も心配していて、みたいな物語の暖かさ。鳥葬されたいと願って家を出た父親を出さない、というのもコンパクトで巧い。娘を演じた三澤さきはこういう、年齢を重ねても天真爛漫であり続ける役が実に巧くて、印象に残ります。
ワークインプログレスは、家族や恋愛、あるいは共棲への視線を感じるオノマリコ(おのま/りこ)の新作のほんの触り。どんな関係であろうとも生きて暮らしていくためのあらゆる単位を「ケア婚」と主張する著作(amazon)を根底に敷きながら、日本でそれをやると従来からの家族観である夫婦のありかた(男女で、一夫一妻で、など)を「ケア婚」とは別の「戸籍婚」と名付けて拘泥する勢力があることを匂わせるあたりまでが上演されました。作家が「ケア婚」をどう考えているかは知る由もないけれど、戸籍婚とは別立てにしようと考えるだろうな、という作家の危機感を勝手に感じ取るワタシです。
トークショーは芝居のブラッシュアップではなく、背景について研究者と語るもの。時間が少々短くて、ケア婚に対して研究者がほぼ諸手を上げて賛成な雰囲気の語り口と、そこへの懸念を描いた(とワタシが思う)作家の危機感をギャップに感じてしまうのは考えすぎかもですが。
ライブはこれまでのオノマリコ関連の作品で上演された芝居の曲をてんこ盛りで、しかもショー形式で。これを生バンドで成立させるという主催の心意気、これからも楽しみに。
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