【芝居】「風の中の街」東京乾電池 大人のお芝居入門
2023.4.9 15:00 [CoRich]
東京乾電池劇団員によるシニア向け演劇教室の第七期生による本公演。 別役実がピッコロ劇団に書き下ろした戯曲を4キャスト構成上演。4月12日までせんがわ劇場。
リアカーを引いて街から街へと彷徨う家族。内縁関係の男女とそれぞれの連れ子と赤ん坊。男は名人ともいわれる当たり屋、身体を張っている。妻は赤ん坊を産んでそれを続けられず、いよいよ長男だがなかなか踏み出せない。
電柱と街路灯という別役実の世界観、そこにリアカーを引いた家族。ちょっと休みたいといい、ゴザを広げ、箪笥などの家財道具を広げて半ば居座る人々。街の人々は違和感持ちつつも、交通事故や赤ん坊といった要素のある種の同情によって、受け入れられると言うよりは街の人の心に忍び込むように定着していくのです。狂言回しとなる刑事が、日常に忍び込む家族の在り方を喋りながら、しかしそれを糾弾するわけでもなく、ただただ提示してみせるのです。
定まった場所ではなく、風のように流れ暮らしていく家族の在り方は現代では一般的とはいえないけれど、大金を持ち合わせてホテルに泊まりまくるというのでなければ、それぞれの街に暮らす人々との折り合いのつけかた、あるいはつかなさみたいなことが紡ぎ出されている今作、印象に残るのです。
別役実にしては登場人物が多いなと思うとなるほど、日本初の県立劇団のために書き下ろされたもので、それも初演時は阪神淡路大震災によって上演が中止になったのだといいます。ワタシはほとんど芝居見始めの頃でたぶん、ピッコロ劇団も別役実も知らない頃でした。ネットで探しあてた1996年のパンフ、なんとニフティサーブの演劇ベストテンの話題が載ってたりして、四半世紀以上を経てぐるりと一回り、勝手に感慨深い。
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