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2023.03.25

【芝居】「デラシネ」鵺的

2023.3.11 14:00 [CoRich]

鵺的の新作は、人気の脚本家の家に住む弟子と師匠の物語。3月12日までシアタートップス。115分。

何本ものドラマを掛け持ちするほど人気の脚本家、実はもうあんまり掛けていなくて、弟子たちがほぼ書いている。弟子は女性ばかりで住み込みと通い、一軍と二軍を部屋で分けている。妻と娘は同居しているし、師匠のマネージャーも居る。あるいはプロデューサーや女優も出入りする。
弟子のトップは鉛筆で書き続けている。師匠は才能に惚れているが、手を出さずに抱え込みたい。新入りの弟子は作家の本が好きで初日から翔と認められこの一軍の部屋への出入りを許される。女ばかりの弟子を個人の名前でデビューするには、師匠が目をかけ、抱かれたものが優先され、デビューしている女も居る。

師匠の看板があるからテレビ局からの発注があり、暮らしていけるというパワーバランス。ドラマの脚本家は俳優やスタッフの要望をきいて手直ししていく過程で作家の描きたいことはほぼのこっていないというあるあるらしいと言うことが序盤で語られます。 プロデューサーからの新たな発注、一人で書き切ってドラマの賞を取れば(抱かれなくても)デビューさせる、という条件を出されて発憤するのです。

何があってもデビューしたいという女の想いは、自死した同僚の想いがあり、新人がわざわざここに弟子入りしたのには実は男の娘なのだとか、人々の想いを幾重にも重ねて重厚さを紡ぎます。パワーバランスに胡座をかきパワハラセクハラの限りをつくしたこのコミュニティは結局崩壊するのだけれど、しかしその終幕はもう、ほぼ任侠映画のよう(ちょっと違うか)な迫力なのです。

弟子のトップを演じた、とみやまあゆみははほぼ出ずっぱりで動きも少なく、ここに渦巻く想いを一身に集めるよう。マネージャーを演じた田中千佳子は軽さと気遣いと、あるいは自分の挫折あわせもつ人物造型をしっかり。プロデューサーを演じた川田希は業界人っぽくきりりと、しかしこの家で起きていることの理不尽を知っていても仕事のためと割り切ってしまっていたことが、最後通牒を言い渡すのもカッコイイ。男を演じた佐瀬弘幸は、パワフルな絶対権力者の姿で終始ありつつける姿、なんか凄い。妻を演じた米内山陽子の圧倒的なラスボス感はさすがに大笑いするワタシです、凄い。

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