【芝居】「RAIN~改訂版~」螺旋階段
2022.12.24 18:00 [CoRich]
16年前の旗揚げ公演を改定しての再演とのこと。ワタシは初見です。12月25日まで小田原市生涯学習センターけやき。105分。
2006年の探偵事務所。夫の浮気を疑う妻が探偵の依頼に訪れたりしている。その事務所にやってきた男は、自転車で恋人の元に向かう途中で気がついたら自分の居た1976年からこの時代にタイムスリップしてきたという。超高速で自転車を走らせ元の時代に送り返しても、すぐ男は戻ってきてしまう。浮気を疑われた夫は、両親亡きあと結婚することもなく育ててくれた伯母が病気で先が長くないことを妻に隠していた。
タイムスリップして消えてしまった男を待ち続けた恋人は独身のまま歳を重ねていて、その寿命も尽きかけようとしているときに待ち続けた恋人が若いまま現れ再会する、という物語は二つの時代を超えたクリスマスらしいファンタジー色の強いラブロマンス。振り返ってみれば、このシンプルで太い物語にきちんと収束するように、浮気を巡る話、養子をとって育てた独身の女、あるいはマセラティを駆るライバルの粋な探偵、わりとやりたい放題の大家など、緻密に組み合わされた人物も魅力的で見応えがある一本だし、バック・トゥ・ザ・フューチャー風味のタイムスリップや、きっちりボンネットを再現した高級外車みたいな外連も楽しいのです。
探偵よりも年上の探偵助手を演じた露木幹也は落ち着き、時にコミカル。やりたい放題の大家を演じた岡本みゆきの軽快なコミカルと会わせて物語にリズムを。ライバル探偵を演じた水野琢磨はキメてもどこか三枚目風味の楽しさ。待つ女を演じた田代真佐美と「時をかける中年」を演じた緑慎一郎は、ひたすらシリアスラインであり続けるラブストーリーの要をしっかり。実は男はタイムスリップではなく、亡くなっているのだという終幕は悲しいけれど、きっちりクリスマスらしく。
公共ホールではわりとありがちな広い客席の劇場だけれど、客席の場所をぎゅっと狭くしてすくなくとも濃密な空間を作り出すのはとてもいいアイディアで、三鷹市芸術文化センター星のホールの手法でよく知られるけれど、もっと使われていい方法だと思います。
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