【芝居】「楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜」Rainbow Jam
2022.10.22 13:00 [CoRich]
劇団旗揚げ二作目、ネオゼネレイタープロジェクトの大西一郎の演出で。7名の役者はみな出演しますが、3つの役を白黒2バージョンのダブルキャスト構成。ウッディシアター中目黒。 100分。 「かもめ」を上演中の劇場。ニーナ役の女優の楽屋。準備に余念がない彼女からは見えていないが大きな役を得ることなく死んでしまった女優の幽霊二人が毒づいたり、愚痴ったりしている。終演後の楽屋に、長い間病気で休んでいたプロンプターの女が現れ、ニーナ役を返すように迫る。
もともとは4人構成の戯曲ですが、今作はメインキャストでない女優がト書きを読んだり、あるいは女優ABの鏡に映る姿を演じたり、ボイスパーカッションよろしく効果音を出したりと、台詞こそ少ないものの、サブとなる役者たちもほぼ出ずっぱり。 楽屋という場所のセットで上演されることが多い作品ですが、今作は荒れ地に墓石を思わせるものがちらほらという感じ。序盤は女優たちが漂うように行き来してやがてゆるやかに始まります。楽屋に居着いた幽霊というよりは、現実の役者である女優Cもまた、過去の人物であるかのような不思議な感覚がありますが、もちろん幽霊である女優A、女優Bが見える見えないという重要なファクターがあるので、そういう「雰囲気」を感じるだけなんですが。
役を得たいあまりに心が残り成仏できない女優たち。プロンプばかりさせられ台詞はもう十二分に入っていて口ずさみ演じてみたり(「かもめ」「マクベス夫人」「三人姉妹」)、あるいは役を手放さないための必死さは単に役者ということだけではなくて、生きていくって大変、なんてことを考えたりするワタシです。幽霊の女優二人の生きていた時代が違うから海外戯曲の翻訳が時代によってことなるとか、こまかな味付けなど、前半もとても軽やかで面白いなぁと改めて感じるのです。 鏡に映る女優、ト書きを読むなど役者の数を合わせるためという中から出てきたであろう演出だけれど、それもまた物語の雰囲気によくあっていて、わかりやすい上演になっていて、戯曲の魅力、役者の魅力が存分に濃縮された一本になっていると思うのです。
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