【芝居】「Silent Blue ~farewell Song~」ネオゼネレイター・プロジェクト
2022.11.12 19:00 [CoRich]
ネオゼネの旗揚げ作品「SILENT BLUE」、1994年、2000年と再演を重ねる作品(全て未見)のおそらく最終章。「劇」小劇場。11月3日まで。
「ねずみ」の脳内に入り込み人類滅亡を救うような秘密を見つけるミッションが失敗に終わり脳内の図書館が火災になってから10年。協力者は身体はあるものの、目を覚まさない。脳内の図書館には帰れない男、脳内の焼け残った場所からアーカイブを取り戻している女がいる。現実の研究室跡地では植物に興味を持つ「ねずみ」と、研究員たちはそれを監視しつつ、膨大な書物や映画などを見て互いに話をして過ごしている。ある日、その場所に複葉機が不時着する。
10年前のミッションの失敗によって世界は終わらなかったけれど、その傷を負った人々が世界から隔絶して過ごしている場所。膨大なアーカイブを前に書物も映画も音楽も語り合って暮らしているというのはもはや老人たちのようだけれど、彼らは若く、それはもういろいろを背負ったままの人々が暮らしている「余生」という雰囲気。膨大な作品への多彩な、ややスノップめいた語りの数々は作家がこれまで見聞きしてきた多くの作品そのものであり、舞台の上に点在するグッズ群もあわせて、彼自身のこれまでの半生の語りのと感じるワタシです。当パンに挟まっていたA4サイズぎっしりの文字もそれを裏付けるよう。
いわゆる役名リストが無いので、役者の名前で。猪股俊明の飄々とした軽さ、横山祥二のずっと居続ける人の感じ、寄り添う松岡洋子の凛としてこの(脳内)世界を支える力強さ。蒲公仁のオジサン造型がカッコイイ。石塚義髙も髭の感じがちょっと似てるけれど、コミカルも楽しく。大和田悠太の来て、去って行くと言う旅人の颯爽。何より、私たち界わいが盛り上がるのは(元)ジャブジャブサーキットな役者三人そろい踏み。桑名しのぶは少年のようでもあり、コヤマアキヒロはスノップな雰囲気がマッチし、咲田とばこ、実は前掛け登場のシーンが密かにワタシ好きなんです(何の告白)
何かの枠組みに絡め取られて出て行けない、戻れない人の繰り返しのループ。世界は未だ終わってないけれど、いつ終わるかわからない、というのは初演の1989年から2022年の現在まで私たちが経験してきたことを勝手に積み、重ね合わせて観られたりするのは、年齢を重ねて見える風景ってのもあるんだなぁと思い出させてくれる一品なのです。しかし、フランキー堺とか淀川長治とかねぇ、楽しい。
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