【芝居】「ウロボロスの筆」LOST WALKER
2022.10.15 13:30 [CoRich]
まつもと演劇祭参加作品。ワタシとしては始めて入った空間・上土下町会館はこの地域の町並みの象徴の一つ。長野市で昨年旗揚げの劇団、再演のようですが、ワタシは劇団初見です。45分。
作家が執筆の大詰めとなり、旅館を訪れる。女学生と教師の許されない逃避行の中、帰宅を促す教師に反発した女学生は洞窟に教師を誘い出す、という小説を書いている作家。行き詰まる執筆を進めるため、仲居に原稿を読ませてイメージを膨らませる。
ごくコンパクトな空間、ちゃぶ台とスタンド、畳の和室の一角という風情の装置。言葉を読むことで小説の世界に取り込まれる仲居、さらには現実と虚構の区別が曖昧になっていく狂気の姿はやがて、女学生による教師の監禁というサイコスリラーな展開、包丁で刺すという終幕を用意していた作家なのに、物語を完結させるために自分を刺すよう懇願する作家と包丁を手渡される仲居が小説世界でエコーチェンバーとなっていく二人の怖さがこの小さな空間に濃密に描き出されます。作家を演じた伊東昌恒の真面目で大人な雰囲気、仲居を演じた佐藤美穂子は素直でしかし取り込まれていく変化が鮮やかに。
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