【芝居】「「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛」ガレキの太鼓
2022.10.9 17:00 [CoRich]
ワタシ的には2018年から久々に、劇団名をオープン屋号にしてからは初めて。しかも(恐らくは作家の)実話ベースという90分。10/9までOFF OFFシアター。作演は舘そらみですが、体調不良により演出は途中で伊藤毅に交替とアナウンスされています。
36歳まで結婚に興味のなかったイラストレータの女。観光パンフレットの仕事で訪れた山間の自治体の男から、数回しか会っていないのに結婚を申し込まれ混乱するが、誠実で真っ直ぐなアプローチに心動かされ付き合うことを決める。男の親や友人たちは悪意はないが36歳という年齢やこの土地に住まないことを言われたり、日常的な干渉に強いストレスを感じる。東京に戻っても、原因不明の体調不良が続き、それは恨みを買った地元の元カノの生霊によるものだと言われる。男が裏切るであろうこと、あるいは自分が一番なのに仕方なく二番なのだという頭の中の声に悩まされる。
結婚(やそれに類する事実婚)を巡る人の感じ方の多様性が認識されるようになっている昨今、今作はいわゆる古くからの価値観が未だにある田舎に嫁ぐことを決めた都会(や海外)に住んできた女性が感じる違和感を主軸に描きます。描き方はポップで疾走感すら溢れていて情報量が多くて、振り落とされそうになりながらも、終演後の帰路でセリフを噛みしめてみたり。たとえば序盤、「20代の結婚相談所に行ってはみたものの、条件を出せなかったということは結婚に興味がない、ということ」というの前提ゼロで観客を引き込む感じが、ああ久々に拝見する作家の持ち味だなと思ったりするのです。
その真ん中で翻弄され語る女を演じた異儀田夏葉はポップさと戸惑いとコミカルの絶妙なさじ加減。友人を演じた日高ボブ美の友人たる距離感の説得力。バーのマスターを演じた奥田努のダンディで踏み込んでこない安心感。夫を演じた富川一人、生まれ育った場所に疑問を持ってるような、それが達成されていないようなある種の幼さを感じさせる造型は作家の描いたものだけれど、それをきちんと体現します。
字幕によれば、実話として11月に入籍予定とのこと、どうか、お幸せにと願うばかり(なのに、不安ばかりが感じてしまうこの芝居どうなんだ)
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