【芝居】「SHINE SHOW!」Aga-risk Entertainment
2022.9.3 18:00 [CoRich]
アガリスクエンターテイメントの新作は 新宿三井ビルの実話をもとに。9月4日までシアターアルファ東京。150分。
夏の高層ビルの広場に組まれたステージで行われるのは、入居企業だけで行われる対抗のど自慢の会場。会社員は忙しく、ビルの管理会社のスタッフもこの祭りを楽しみ、作っている。会社員それぞれの思いを歌に込めたり、歌がうまいというだけで出されることになって怖くなったり、元アイドルが派遣で働いていたり、デスマーチ中の会社員は歌合戦に出ると云って出てきたら、着信拒否されたり、ドア認証が通らなかったり。あるいは、何かの告発を企む出場者が居たり。毎年連続でエライ人が名物になっていたり。
会社らしくシュレッダーの紙ゴミを紙吹雪にしたりという特徴もきっちり、あるいはラジオ局のディレクターとアナウンサーが取材に来たりは舞台の説明として緻密なことに作家の舌を巻きます。ワタシに素晴らしかったのは、孫請けの会社員が元の発注企業の社長(実はVIP席にいる)に告発を仕掛けるシーン。今作の中では唯一のラップで、告発という機能がとても巧く機能しているのです。孫請けだから間に別の会社が入っているというのが絶妙で、告発も実はその間の会社からの伝聞だという危うさ。更には告発された社長がトラメガでそのラッブバトルに応戦し、誤解を互いに知り、解り合うというのに泣いてしまうワタシです。正直にいえば、ラップを客席からどう応援したらいいかは知れ渡ってるとは言いがたく、司会の女性が手を真上にあげ、手のひらをプレイヤーに向けて前後に動かすということをしてガイドしても、同じことが客席で起こらなかったのが残念だったりするのですが。
物語の核となるスタッフを演じた熊谷有芳はイベントへの愛と危機管理の素晴らしさを体現しつつ、危機に際してステージに上がって歌うまでをきっちり。ビルの警備員を演じた淺越岳人は仕事をしつつ、アイドルに凄く詳しく、元アイドルの派遣社員が居ることも判った上で喋りすぎず見守る塩梅の良さ。デスマーチ中の企業の社員を演じた三原一太はいろいろ困ってしまう雰囲気がそれらしくて説得力。外資系証券のエライ人を演じた中田顕史郎のコミカル、楽しみにしているのど自慢よりも仕事をキッチリ取る格好良さが見事。ラップで告発する役を演じた平田純哉、それに応えた役員を演じた北川竜二(ラップするとは思えない風貌なのがとてもよい)の二人がホントに素晴らしく。
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