【芝居】「ハヴ・ア・ナイス・ホリデー」第27班
2022.7.17 18:00 [CoRich]
第27班の新作。7月18日まで、こまばアゴラ劇場。120分。
不老の薬が配られる「未来の村」。若者に限り居住を許され、過疎地域に設定された特区。ダンサーの女が宇宙旅行の時代まで長生きしたいと移り住んでくる。村内には店はほとんどなく、受付で自身はここには住まず薬を飲んでいない女、村外との行き来ができるタクシー運転手の男、不妊治療を続ける夫婦、使われていなかったラジオ局に住みギターを弾く男などがいる。不老の薬のわからなかった妊娠に対する副作用が明るみになり。
残された時間に焦り若返りを狙う老人ではなく、若者だけに不老をという設定のSF風味。若く輝いている時間のままその時間を続けることが出来たとしたらという思考実験のようでもあり。不妊治療の夫婦の、そのなかば子供を手に入れることへの執着だけが残り止まったような時間、あるいは何者からも自由でありたいと考えているミュージシャンが自死にいたるまでのある種の絶望感。特区という設定のわりにコミュニティが小さすぎて、個人個人のキャラクタで描かれていて、当パンにある「ぐんぞうげき」には正直なり得てない気はするけれど、魅力的な人物で生に纏わるさまざまをギュッと濃縮して描く奥行きは確かにあるのです。ラジオ局のブース、役所の窓口、タクシーの座席、隣家と接する家の前とという場所を組みあわせ、中央に蜂の巣のハニカムを置いた舞台のつくりもその濃縮した感じに寄り添います。
ギターで歌う男を演じた大垣友の無頼な風来坊風情がクールなのに、その心が躓く終盤の奥行き。運ぶ男を演じた佐藤新太の人なつっこさや事故を起こした時のパニックなど、全体にクールな人々の中で生々しい造型が印象的。遊ぶ男を演じた藤木陽一、ナンパで軽く見えるけれど妻が好きすぎるゆえに抱える苦悩とのコントラスト。
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