【芝居】「世の中と演劇する The three plays」オフィスプロジェクトM
2022.7.30 19:00 [CoRich]
丸尾聡による演劇企画集団。戦争にまつわる短編2本と、もう1本中編を。100分。7月31日までアトリエ第Q藝術。
茶色以外の猫は処分しなければならない、という法律からそれは犬も含めたペットに広がったが、それ以外の日常は変わらず快適だった。やがて新聞も「茶色」を掲げるものしか残らなくなり、やがて政府に批判的な出版社の本が姿を消したが、その中に居る限りは安心だった。「茶色の朝」(作 フランク パヴロフ /訳 藤本一勇 )
戦争に敗れ占領された国の学校に新任の女教師がやってくる。父親が連れ去られたことに不満を持つ子供には「間違った考え」を持った父親は大人の為の学校に行ったのだと諭す。キャンディーが欲しいと(神の代わりに)指導者に祈るように試させるが子供たちが目を閉じている間に女教師が配っていることを見とがめられるとキャンディをくれるのは神ではない誰かなのだと教える。「23分間の奇跡」(作 ジェームス・クラベル / 訳 青島幸男)
演劇部を辞めた友人を呼び止める演劇部に留まった女子高生。大道具や朗読につきあわせる(2021.9)「明日のハナコ」(作 玉村徹 / 上演台本 丸尾聡)
開幕と終幕、それぞれの芝居の幕間をうめる犬が軽やかに語り繋げます。
「茶色の朝」は見逃していた日頃の些細な変化を止められるうちに止めないとそれは大きな力になり逆らえなくなるどころか、その中に居る限りは安寧が得られる、ということを登場人物の視点で描きます。正直にいえば戦争の物語という触れ込みの公演でこの流れならば早々に結末は判るけれど、じゃあ何処で止められたのかといわれると言葉に詰まるワタシです。自分に危機が迫るまで放置していれば何が起こるか、それは戦争かも知れないし差別かもしれないし主権の制限かもしれない。為政者が正しいとは限らないという気持ちで向き合っていることの重要さ。
「23分間の奇跡」は教室に教師と生徒の一幕という意味では「最後の授業」っぽいけれど、こちらは新任の、つまり新しい体制側の教師の手練手管に子供たちが絡め取られる23分という物語。一本目に比べると最初に警戒感一杯であったとしてもはるかに短い時間で変えられるということの凄みは相手が子供だから、とは限らず、大人だってマルチやら霊感やら、いろいろ日常の中にも潜むのです。
「明日のハナコ」(台本)は何かの忖度、何かを隠そうとすること戦争の2本のあとでは、これが「いつか来た道」に繋がるというメッセージを勝手に読み取るワタシです。
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