【芝居】「岸田國士戦争劇集(白)」DULL-COLORED POP
2022.7.9 15:00 [CoRich]
作品3本を時系列に並べて岸田國士の人物を描く試み。120分。アトリエ春風舎。「動員挿話」はだいぶ前にリーディングで拝見したきりで他の二本は初見です。
少佐が出兵することになり、馬丁を連れていくと云うがその妻が許さない。が、馬丁は仲間が皆行くから、と。
動員挿話(青空文庫)
流頭(ルーズベルト)と茶散(チャーチル)の電話での会話。
戦争指導者(青空文庫)
出兵することになった男、子どもの頃に片眼を失明させてしまった親友は行けないのでその代わりに二人分働く、という。
かへらじと(青空文庫)
岸田國士が生まれ軍人だったりフランス留学だったりという時系列に作品を並べます。
「動員挿話」はすっかり忘れていたけれど、激情する妻の理と友が行くならという夫の理、少佐夫婦は目を掛けてきた夫婦だと思っているが、そこで断られると思っていなくて混乱する物語。現在の日本という国の視点で観れば劇場する妻の視点から見てしまいがちなワタシです。少佐夫人の演じた石田迪子の凛とした美しさ、馬丁の妻を演じた伊藤麗は激情したら手をつけられないと思う迫力の持ち味が説得力。
「戦争指導者」はごくごく短い会話、これが面白いかはよく分からないけれど、インターミッション的な効果。
「かへらじと」は町の人々を音声で作り、大勢の物語をごく少人数で回すコンパクトな作り。心に刺さったことをずっと悔やんでいる男、二人分働いて、死んでもいいという決意はなるほど戦争末期に発表されたという時代の背景。軍に行った男を演じた國崎史人は若い男が決意を秘めた凜々しさ。片眼を失明した男を演じた函波窓は力強く生きていくという終幕は希望を描く説得力。
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