【芝居】「焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜」下北澤姉妹社
2022.5.14 14:00 [CoRich]
見慣れた役者の多い座組ですが、ワタシは初見の劇団。105分。駅前劇場。
臨海部タワーマンションのパーティールーム。いわゆる「お嬢さま」高校ダンス部のOGたちの家族。精神科医の女と事実婚パートナーが住んでおり、それに憧れてOGの友人家族が引っ越してきた。歓迎のため、後輩OGのシングルマザーを呼ぶ。
格差があからさまな昨今、あきらかに「上流」な暮らし向きの一室。事実婚子無しで医者の夫婦はやはりそれなりに豊かで、憧れて引っ越してくる専業主婦と週刊誌記者の夫婦は子供はいるがいわゆる中流で、あるいは子供4人のシングルマザーと若くミュージシャンでギグワークで生計を立てる二人は招かれてはいるけれど、とうぜんここで暮らすことは叶いません。経済的な違いと格差をグラデーションで並べ、さらには結婚のさまざま、子供の有無で立ち位置が変わること含めたグラデーションでいくつもの軸を配して立体的に並べて描く物語。高校時代の仲のいい先輩後輩ではあっても、ここまでのあからまさな格差となると親密とはいきづらい気はするけれど、50歳前後で振り返る女たち、ときにマウント。ぎゅっと濃縮した箱庭のよう。
さらには浮気を疑い疑われる夫婦、略奪婚の過去の因縁のいった愛憎、整形したと告白するマンションのコンシェルジェに見え隠れするルッキズム変わらない現実、週刊誌記者が狙う政治家の公文書偽造やそれに怒らない日本人など、正直にいえば箱庭とはいえこれだけの話題を100分ほどとは詰め込み過ぎな感じは否めませんが、明確な問題意識の発露をベースにした物語のベクトルは強力にぐいぐいと牽引するので、思いのほかとっちらかった印象にならないのがちょっと凄い。
医師の女を演じた松岡洋子のみなぎる自信、憧れる専業主婦を演じた明樹由佳の欲しいものは背伸びしても手に入れる迫力、シングルマザーを演じたみょんふぁのバイタリティ溢れる強さのコントラスト。コンシェルジェを演じた関口秀美のある種のツクリモノ感すらある凛とした造型。 明樹由佳、西山水木といえばの手話「風」のてぶりを交えたジェストダンス、今作では人数の多さも相まって迫力すら。
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