【芝居】「ふすまとぐち」ホエイ
2022.6.4 14:00 [CoRich]
劇団野の上の旗揚げ作 (1, 2) をホエイとして上演。 物語のベースはもちろん変わらず、東京拠点のホエイでの上演なのか、セットはこれまでの旅公演前提で引っ越しパックに収まる物量よりは大幅にバージョンアップ。きっちりと立て込んでいて確かに見やすいのです。
初演から10年以上を経て、自分が変わったなと思う視点は傍若無人な姑がおそらくは病院のベッドで観ている夢。嫁が引きこもりつつ家事を支えて居るという理不尽な、芝居序盤の場面から時間を遡り、結婚、あるいは息子が恋人を連れて来る走馬燈。最初はとてもいい関係だったのに、どこでボタンを掛け違えたのか、どこでこうなってしまったんだろうとぼんやりと漂い感じ考える感じがとても切ないのです。親が歳を取り、性格が徐々に互いに変わり、関係が変化するということを体験したからこそ感じるのかなぁと思ったり思わなかったり。
2010年版では出戻りした長女の娘、2012年版では今作と同じ嫁を演じた三上晴佳はこんなに理不尽な目にあっているのに時にコミカルに、きちんと生きている人間の造型の細やかさに磨きがかかり。代わって娘を演じた井上みなみはこまっしゃくれた感じで、敏感に家族の雰囲気を感じ取る繊細さ。ちょいダメな長男と親戚の子を一人で演じ分けた中田麦平の振り幅、そしてちゃんと東北のことば。「早起きの会」の一人を演じた森谷ふみは3本の中で最もフレンドリーなのにあからさまに怪しいという人工的なコミカルを感じさせ驚くワタシだったり。
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