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2022.05.24

【芝居】「フェアウェル、ミスター・チャーリー」theater 045 syndicate

2022.4.29 19:00 [CoRich]

第一回のかながわネクスト枠に選ばれた3年ぶりの再演作。 5月1日まで神奈川県立青少年センター、スタジオHIKARI。

映画館を舞台にかつて作られた伝説のカルト映画をリブートする話をベースに、二人の男、一人の女が織りなす物語。初演はどこか勢いで作られような感じはあって、良くも悪くも荒削りで、かつての桜木町駅など幻想的なシーンかと思えば敵陣突破みたいな話だったりと、カッコいいシーンをつなぎ合わせたような楽しい体験だったけれど、今作を見てから振り返ると、物語というよりも予告編だったな、と思ったりするのです。とはいえ、その「予告編」で「かながわネクスト」枠を勝ち取ったわけでたいしたもの。 大型の豪華カジノ船がそのまま大岡川を遡り係留するというのは多分今回書き加えられたシーン。この荒唐無稽さも物語全体の楽しさに寄与しています。映画の「向こう側」が現実世界を侵食しているのだ、という幻想的なシーンの置きどころ、あるいは横須賀に攻め入って果てる三人組といったぐあいに、初演のピースをうまくはめ込んできっちり本編を仕上げたなあと思うのです。

記憶がザルなワタシなので、元々の映画が「別々の未来から来た二人の男が自分の世界を救うために一人の女を取り合う」というストーリーだったかも朧気。それに幻のバージョンとか、ライターが地上げ屋になるなど覚えてないのか、今作で細部を作り込んだかは判然としませんが、たしかに物語の奥行きや手触りというか雰囲気も何倍もパワーアップしています。舞台奥に映写する映画のシーンとおぼしきカットも格好いい。

初演のときとは市長が替わり「とりあえずカジノだけは止めた」けれど、何かすっきりしない、裏がありそうな雰囲気はそのまんまに。なんか映画にしてもそんなアウトローっぽいものも多い印象だったりするこの町の雰囲気を存分に。最近の芝居でも「湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。」とも近しい雰囲気。なんかヨコハマの街の後ろ暗い感じ、繁華街と警察や権力との癒着などモヤモヤする気分を娯楽に昇華するのは、たぶん戦後しばらくの映画の在り方と同じで、その雰囲気を存分に帯びて芝居にするという幾重にもメタな感じも奥行きを感じるのです。

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