【芝居】「下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー」第27班
2022.3.26 19:00 [CoRich]
125分。3月28日まで王子小劇場。
ダイニングバーに集まり何時間も過ごす人々。カップル、キャリアウーマン、売れない俳優、遊び人たち。 遊び人だった男は改心してクリスチャンになり真面目に過ごす日々だが、その彼女は会社を辞めたあとに裁判員に選ばれ急に意識が高くなる。遊び人時代に連んでいた友だちは今もたまに遊んだりする。生真面目な男はコンビニで会う店員の留学生に恋をするが、言葉がわからないので友だちに翻訳して貰って近づくことを考える。役者の男はともかく女癖が悪いけれど、この常連たちはそれを知って程よい距離感を保っている。とくにこの中でバリキャリ女には恋人がいないが、なぜか友人の距離を保てている。
それぞれの人物がそれぞれの物語を持っていて、それを塊でみせていて、全体としては王道の群像劇になっています。当日パンフの配役表には、何らかのタイトルと役者の名前、という組み合わせで書かれていて、注釈として「これらは役名であり、題名である。」と書いてあります。それぞれの人物を体現するようなタイトルと、実はその下に関係とか特性を添えてあって、秀逸な配役表です。
当日パンフの配役表には、何らかのタイトルと役者の名前、という組み合わせで書かれていて、注釈として「これらは役名であり、題名である。」と書いてあります。それぞれの人物を体現するようなタイトルと、実はその下に関係とか特性を添えてあって、秀逸な配役表なのです。
遊び人だった男と意識高くなりすぎた女のカップルの話は時にゲームマスターなる人物の合コンゲームを挟んだりしてという話、童貞がコンビニ留学生に恋した女とのデートをしたりの物語と、「カイジュウ」のウーバー男の話、クズ男が急に興味を持った友人の女との関係という関係性の妙の話、そこに物忘れの激しい店員が背負っている物語、あるいはふらっと踊る人。物語という意味では最後の一人を除いてみんながきっちり物語を背負っていて、実に濃密です。踊る人、にしてみても物語の所々に姿を見せ、あるいは終幕のカーテンコールで圧巻の声量を見せたりと舞台全体の魅力を何倍にもアップするのです。
「カイジュウ」を演じた目崎剛が圧巻のちから。何かに憧れて抜けたけれど、優秀でしかし元の場所には戻れなくて、貧しい暮らしを頑張る切なさ。鈴木あかりが演じたバリキャリの振り幅、望んでこうなってはいるわけではないけれど、しかしこうなってしまっているという閉塞したループ感。もりみさきが演じた物忘れ激しい店員の終幕、オタマトーンのシーンの切なさ。「音楽が鳴れば歌うし踊るんだ」と題された役を演じた服部美香のセリフゼロでの存在感も。
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