【芝居】「あいついつまでもやってる」トローチ
2022.1.23 15:00 [CoRich]
2020年4月の上演予定だったものを同じキャストでバージョンアップして公演。1月30日まで赤坂RED/THEATER。
立ちゆかなくなりつつある予備校。経営は生涯学習を掲げ大人向けスクールに軸足を移しつつあるが、予備校全盛期に使われていたときのまま残っている講師室はそのまま残っているが、講師たちの仕事は少なくなっていて、別のスタッフとして働いていたりする。
社員の家族向けのファミリーデイイベントの委員として選ばれたスタッフ達はやる気がないが、最近設備補修のスタッフとして雇われたシニア採用の男はヤケに熱く、巻き込こまれていくスタッフたちはかつての教え子を思い出す。彼は勉強にはやる気を見せないのに6浪してずっと通っていて、みんな彼の事を覚えている。
代ゼミが校舎を集約するというニュースを目にしたのはいつのことだったか。それを反映したような現在と、盛況だったかつての時代を重ね合わせ、いわゆる「お騒がせ」な生徒や職員を軸にして描きます。かつては講師だった人々もスタッフに替わっている職員も多く「くすんだ」日々を送っているのだけれど、その「お騒がせ」な人物が現れ、インパクトがかつて賑わっていた時代を思い浮かべるばかりでなく、くすんだ日々を過ごしていた人々それぞれに彩りを感じるようになるのです。それは「ファミリーディ」という一日の出来事でしかないかもしれないけれど、確実に何かが変わる、つむじ風のような「おじさん」の存在が楽しくなるのです。
6浪の受験生だった彼を諦めているような、諦めていないような母親の存在がまたとても良くて。同一人物というわけではないはずだけれど、ファミリーディに年配の母親を呼ぶことを目標にしていた彼が当日休んだということ、それは母を亡くしたということ切なさ。
お騒がせな受験生もしくはおじさんを演じた辻親八のイノセントな雰囲気、しかし実はちゃんと芯は通っている人物の造型の奥行きがとてもよいのです。母親を演じた柿丸美智恵はずいぶん時間が経ってから現れる人物だけど、一瞬でかっさらう存在感。翻弄される事務員を演じた菊池美里は得意なキャラクタの安心感。講師を演じた山口雅義の一癖も二癖もな雰囲気が楽しく、かつての英語教師を演じた小林さやかが弾けるファミリーディが楽しい。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- R/【ホギウタ】ブリキの自発団P(1999.10.15)
- R/【寿歌】プロジェクト・ナビ(1996.09.21)
- 【芝居】「ヨコハマ・マイス YOKOHAMA MICE」神奈川県演劇連盟(2025.04.15)
- 【芝居】「フルナルの森の船大工」タテヨコ企画(2025.04.08)
- 【芝居】「ここは住むとこではありません」TEAM FLY FLAT(2025.04.07)
コメント