【芝居】「俺は黙って鍋を振る」ラゾーナ川崎プラザソル
2022.1.22 17:00 [CoRich]
商業施設・ラゾーナ川崎の中にある200席の劇場、ラゾーナ川崎プラザソルの開館15周年を記念しての公演。1月30日まで。130分。配信あり。
2022年、中華料理店はコロナ禍の中経営が厳しく、店主の弟は潮時だと迫っている。持ち帰り客は中国人店員が語るこの店の歴史が面白くてつい聞いてしまう。
1972年、両親を亡くしヤクザに引き取られた子供が成長し独立し中華料理店を開くが妻を亡くし父ひとり子ひとりで店を営むが店のオーナーが亡くなり、店は乗っ取りの危機にあう。
1992年父が亡くなり息子が後を継いでいる。幼なじみの女は離婚して地元に戻り、もう一人の幼なじみの男は不動産でのし上がったが警察に追われている。
開店50年の中華料理店。2022年を起点に1972年と1992年と合わせて3つの時間を通してこの店の成り立ちを描きます。
川崎という街の成り立ち、というと偏見が過ぎるけれど、工場の工員、中国人、ヤクザ、キャバレーの女、いわゆるスカウトといったさまざまな人々が行き交い影も持つ街の雰囲気を店の中に作り出すのです。72年のパートは店の成り立ちから活気に溢れる雰囲気と、ヤクザもの、あるいは店を失う危機とそれを支える人々。客たちが店を愛し支えることや人情話といった雰囲気。92年のパートは子供たちが成長しそれぞれの道を歩み、行き違うような、しかし支え合うような。20年という時間を経て成長し壁にぶつかる三人の物語。2022年のパートはその二つを繋ぐような語り部的な役割。コミカルなやり取りも多く、中国人店員と(2022年らしく)マスクと持ち帰り客が待つ時間のコントのような軽いやりとりでが軽快で楽しいのです。
それほど馴染みのある川崎界隈の演劇の役者たちなのだけれど、なるほど記念公演らしく華やかで力強く時代を描く一本になっています。
三つの時代で店主を演じた豊田豪、切り替わり目こそ親子を演じてるということがわかりづらいけれど、この店が続いていることの説得力を確かに。中国人店員を演じた宮川智司と持ち帰り客を演じた加賀美秀明の軽妙なやり取りは序盤の初速、途中をわかりやすく繋ぎとめる面白さをしっかり。
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