【芝居】「サワ氏の仕業・特別編」ジャブジャブサーキット
2021.12.18 14:00 [CoRich]
ジャブジャブサーキットで実験公演として位置づけられる「サワ氏の仕業」の最新作は、短編3本を組みあわせたミステリー仕掛け。90分。12月19日まで、こまばアゴラ劇場。
ウイルス研究所、課長と主任と名乗る二人が潜伏期間がある新たなウイルスの開発をしている。そのDVDを見てい男女と若者が働くどこかの山奥の施設、老婆がいなくなる老婆はかつて孫を川の事故で亡くしている。裏カジノで行われる勝ち抜きの大会に挑むのは行方不明になったギャンブラーの父を探す女。
研究所、施設、カジノの三つの物語ではあるけれど、観ているDVDの中の出来事だったり、老婆が訪ねていく先だったりとゆるやかに時間や空間を継ぎ目なく繋ぎます。会話そのものは平易で密度が高いのに、物語としては不条理でどこに進むかサッパリわからない雰囲気は、久々の「リハビリ公演」とは銘打ちつつも、作家・はせひろいちの真骨頂をフルスロットルに。「こういうもの」だと思って観てるからワタシはワクワク楽しいけれど、これはこれでなかなか人を選びそうな感じではあるのです。
そんな煙に巻かれつつも、幼くして孫が亡くなりそれをきっかけに息子夫婦が離婚することをすまなく思う老婆の心情だったり、虚無僧ならぬコムジョを名乗るパフォーマーによる迫力ある尺八だったり、父娘の確執だったり、コロナ陰謀論めいた語りだったり、と盛りだくさんに物語の断片が詰め込まれていて、その中で漂うように眺める楽しさなのです。ダンスこそないのだけれど、なぜか「維新派」を思い浮かべたワタシ、どうしてだろう。
4桁の数字当て、ゼロなし・ダブり無しという条件だけで一意に数字が決まるというのは思いも寄らなかったけど、シンプルにその通り。そういうはっとする瞬間がいくつもあったりする魅力なのです。煙に巻かれることも多くて、それがちょっと鼻につくこともあるのだけど、今作、ワタシには程よく。
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