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2022.01.04

【芝居】「『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』」ムシラセ

2021.12.11 15:00 [CoRich]

2019年に演劇祭での短編として上演された30分の短編と、その1年後を描く新作を組みあわせて110分。12月12日までオメガ東京。

売れた漫才師が若くして死んだ通夜、師匠など芸人たちやファンの女に混じり、同期だが売れていないコンビは自分たちを振り返る「つやつやのやつ」
死んだ芸人を想い続けるファンの女、一周忌の日に劇場の楽屋口に居る。劇場入りする芸人たちに混じり、芸人になりたい女子高生が友達を無理に連れてきて入門しようとする「ファンファンファンファーレ!」

王道から脇道のベテランや中堅たちさまざまにグラデーションで描きながら、亡くなった芸人と向き合い芸人であることの生き方を考える「つやつや〜」。初演の演劇祭で最優秀となった圧倒的な安定感と、鬱屈とした中から見えてくる希望で終わる前向きの物語はそのままだと感じたのは、ほとんどの役者が初演からそのままスライドしていたということもあるのかもしれません。物忘れの大御所を演じた山森信太郎はなあなあでごまかす感じが(第三者として見る分にはw)可愛らしい。カブキ姐さん・ウィスパーという飛び道具系芸人を演じた菊池美里、つかてつおは振り幅めいっぱいで楽しい。

その1年後を描く「ファン〜」。ところどころ「つやつや〜」の役者も出てきたり亡くなった芸人に繋がる物語ではあるけれど、別の視点で芸人を巡る物語。こちらはファンで居続ける女たちと、ファンから芸人になろうとする女たちを中心にファンと芸人の境界線上の人々を女性中心に描きます。ファンで居続けることも、あるいは芸人になることも「コスパ」は決して良くないけれど、好きを好きでありつづけられる熱量は確かに若さゆえで眩しく感じるワタシです。無理矢理連れてこられた友人という鋭く冷静な視点の役を一人置くことで相対的に見える風景もきっちり。本筋には関係ないけれど、たった一年老いただけでボケまくる菊池美里の破壊力が凄い。

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