【芝居】「Transcendent Express」Cuebicle
2021.12.12 14:00 [CoRich]
元・劇団銀石(未見)の佐野木雄太によるプロデュースユニット・Cuebile初のプロデュース公演。2017年に演劇祭の一本として上演された作品(未見)の再演。12月19日まで上野ストアハウス。90分
上野発の「婚活列車」に乗る二人の男。未婚を満喫してきたが未婚は犯罪者同然に扱われるようになりなかば渋々乗り込んでいる。一人は頭痛を鎮静剤の乱用で抑え込んでいるが、かつて列車で旅をして行き先の秋田までの途中で自ら降りた過去を今でも思い出す。カップリングのための数々のイベントで、カップルになれば途中駅で下車していく。若く安定を求める女、年上で高望みする女など逢瀬を重ねるが、秋田から乗ってきた女に目を奪われる。
婚活列車と男女の軽口の会話をベースにしながらも、過去の出来事に囚われる男と女をめぐる物語は、ダークミステリーの風味。舞台の上で行われる動きや見え方はスタイリッシュなんだけど、オーバードーズとか、男二人が女を品定めとか、陰謀論めいた樺太への宗谷トンネルへの逃避行とか、(いわゆる昭和の)大衆小説の雰囲気をまといつつ、演歌とかアングラ芝居とか、やけに昭和な印象を残すのです。
物語としての説得力は皆無に感じるワタシだけれど、壮大な嘘だらけの物語をきっちり見応えのあるエンタテインメントに仕上げるのは確かに芝居のちからなのです。作家は初めてなのでよくわからないけれど、演出のフジタタイセイはこういうツクリモノな舞台が実にいいと思うワタシです。頭痛持ちの男を演じた鍛治本大樹、友人を演じた佐野功の鼻持ちならないエリート臭な雰囲気がやけに格好良く、秋田から乗ってくる女を演じたハマカワフミエの謎めいた人物造型も印象に残ります。
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