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2022.01.29

2021年は52本でした。

相変わらず感想書くの遅め。50本ぐらいだと平均して週一本、もう少し見てもと思いつつなんかこんなペースになってます。なんとなく既に見知った劇団、役者、作家を観に行ってる感じではあって、新しい出会いみたいなのはホントに少なくなってるのはちょっと寂しい感じでも。

配信で見たのはこんな感じ。

  1. 1/30 月いちリーディング はぎわら水雨子『冷やし中華いななき』
  2. 1/31 「洞爺丸物語」渡辺源四郎商店
  3. 2/22 「宇宙の話を3つしよう」あひるなんちゃら
  4. 2/27 月いちリーディング 大西弘記『風の奪うとき』
  5. 3/13 「ザ・空気 ver.3」二兎社
  6. 3/31 「本多劇場物語」荒川良々
  7. 5/25 「夜から夜まで」競泳水着
  8. 5/30 「鋼の糸」JACROW
  9. 6/19 月いちリーディング 加藤真史『構造なり力なり』
  10. 6/20 「夏祭浪速鑑」まつもと歌舞伎
  11. 7/24 月いちリーディング 伊地知克介『光と虫』
  12. 9/11 月いちリーディング  伊東 翼『さよなら火星人』
  13. 10/9 月いちリーディング 竹原圭一『鈍行』
  14. 12/23 「俺のフレンチ」高泉淳子

映画はたった2本。まあnetflixでぼちぼち見たりしてますが。(ノマドランドがよかった)

  1. 5/11「シン・エヴァンゲリオン 最終章」
  2. 11/23 「きのう何食べた 劇場版」ブルク13

テレビドラマは「ハコヅメ」「日本沈没」「青天を衝け」ぐらいかなぁ。なんかあったっけ。

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【芝居】「gaku-GAY-kai 2021 贋作・終わりよければすべてよし」フライングステージ

2021.12.30 14:00 [CoRich]

年末の恒例企画、今回も拝見できました。新宿シアター・ミラクルで休憩20分を挟んで2時間半ほど。12月30日まで。コロナ禍のおかげといえば、客席がわりとゆったりなのは正直助かるのです。

第一部「贋作・終わりよければすべてよし」、上演があまり多い演目ではなくて、ワタシは初見。貧しい女が想いを寄せる貴族の男に、医学の心得をもって結婚を手に入れようとするベース、周りも応援してるけれど当の貴族が乗り気薄でのあれこれ。女性が想いを遂げるハッピーエンドとも言えるけれど、男の側から見れば策略にはめられたとも言えるわけでなかなか。

正直にいえば、シェイクスピア、男女という題材であればたいてい女性をゲイ男性が演じたり、女性が男性役を演じたり、国を都内の地名、たとえば新宿二丁目と歌舞伎町という隣国にするという、いくらでも題材が作れるgaku-GAY-kaiというフォーマットの発明。シェイクスピア作品をそれほど多くは観てないワタシ、これがシェイクスピアに触れる機会というのもどうなんだ、とは思いつつ。毎年の楽しみなのです。

第二部はコメディーショー構成。 「佐藤達のかみしばい」大量の画用紙でスピーディに語る紙芝居。靴下が靴の中でくるんとか、シェイクをオロナミンCで作るとか、大きな鳥に捕まって飛んでいくと、おとぎ話のようで楽しい。
「水月モニカのクイアリーディング」原作を特に語らないので、彼女の作品かどうかわからないのだけれど、本当の愛を知らない薔薇、白、黄で赤い薔薇になるために。
「ドラァグクィーン ストーリータイム」(関根信一) は絵本、「あおいらくだ」のリーディング。違うことを認め合うものがたり、LGBT当事者が書いたのだというのもなるほど
「小夜子なりきりショウ「リヴァイタル:アヤ」」(モイラ)はいつものように美しく妖艶な濃密さ。
「ジオラママンボガールズ オンステージ」いわゆる「アレコード」(TBSラジオ・伊集院光とラジオと、のコーナー)の楽曲で無表情で踊るパジャマ姿の二人、というユニット。空気を入れた巨大な風船のような宇宙人の人形と「一体化」して奇妙に楽しい。
「中森夏奈子のスパンコール・チャイナイト vol.13」毎年末の恒例、中森明菜の近況を語り、紅白への執念を語り、あの特徴的な発声法で別の曲を歌う組み合わせの妙。コロナ禍さえなければ、客席から明菜ちゃんの掛け声が楽しいのだけれど、致し方ない。
「今年もアタシ、第二部で何かやろうかねえ」(エスムラルダ)こちらも恒例。二曲ほどレコードに合わせて踊り、そして大団円の「エスムラルダでマンボ」。

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2022.01.18

【芝居】「vitalsigns」パラドックス定数

2021.12.19 15:00 [CoRich]

パラドックス定数の新作。深海探査艇の救助に向かった潜水艦の中での5人の会話。110分。12月28日までサンモールスタジオ。

救難信号を受けた救助艇が深海調査艇に向かう。無線での通信はできるが、言葉の雰囲気に違和感を感じつつ、3人のクルーを救助する。彼らは体温が異常に低く、声での会話をせずにコミュニケーションがとれているようで、人間でない何者かになってしまっていることを感じ、陸に連れ帰るべきかを悩む。

潜水艇を思わせる半球状の骨組みに、簡素な設えのベンチというシンプルな舞台。助けた三人が人間でない何者かになってしまっていることを感じ取り、あるいは救助に向かった側の一人も中途半端ではあるけれど何者かになってしまっているというシチュエーション。徐々に、海底から噴出した熱水に混じっていたバクテリアが人体を乗っ取ったというSF風味の骨格はあるけれど、作家が描くのはそのサスペンスではなく、あくまでも理解を超えた異者を目の前にしたときに感じ対応する人間の姿を、実に細やかに。どこかウルトラセブンを思わせるような見応えのある会話劇なのです。

異物である三人の側も慣れない身体を持て余し、あるいは人間という異物を目の前にして警戒するという、両方の視点があることをきちんと誘導するのがとてもよいのです。そこをスタートにして恐怖、理解、憐れみや差別といった感情のグラデーションな変化、あるいはそれがないまぜになった混乱した心を描くことで「自分は何者なのか」を見つめ直すように観客を誘います。終幕、低い体温ゆえに人ならざるものだということはすぐにわかってしまうけど、せめてそれを長引かせようと軍手を渡すシーンが印象的。長い時間一緒にいたから自分たちも同じようになってしまうかもしれないある種の恐怖や諦めを抱えながらも、駿河湾沖に再び出て行く二人、希望と絶望がないまぜになったよう。

リーダを演じた西原誠吾の感情の変化の振り幅と細やかなグラデーションが見事で物語の背骨になっています。クルーを演じた神農直隆は「半分だけ変化」のどうにも中途半端な立場のコミカルさを纏い、二人の丁々発止が実に楽しく、救助された三人を演じた植村宏司、堀靖明、小野ゆたかの間にあるグラデーションと合わせ、濃密な会話空間をつくりだします。

史実を下敷きにした隙間を描くのが巧い作家だけれど、幾つかある彼女の完全オリジナルな物語の中でも、コロナ禍の中で上演されることで、人々の分断とか、いつまでもなくならない差別の物語がきちんと届くし、この作家を追い続けたいと思うワタシです。

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2022.01.16

【芝居】「落語「YODOGOROU」一人芝居「変身!」」おのまさしあたあ

2021.12.18 18:00 [CoRich]

俳優・おのまさしが一人芝居を二本、寄席と銘打つ企画。落語「淀五郎」とカフカの「変身」、休憩込みで2時間弱。12月19日まで、横浜ベイサイドスタジオ。

好きなんだけど聴いてる落語の絶対数が少ないワタシ、「淀五郎」は初めて。忠臣蔵を上演する一座の役の一人が病になり代役として抜擢されたホープがなかなかうまくいかず苦悩の先に上達して、相手役が近くまで来てくれたときに漏れ出た「待ちかねた」が下げなんだけど、今作ではその一歩手前で役をつかみ取れずに相手を罵倒する気持ちから漏れ出る「くたばっちまえ」と解釈したワタシです。なんか忘れてる気もするけれど..。元々の噺の下げも忠臣蔵のセリフを前提とするある種のリテラシーが無いと、掛かっているとわからないので、むしろこっちの心情からダイレクトに繋がるのはわかりやすさ重視だなと思ったりするワタシです。

「変身」はほぼ、その変身した虫が、私が子供番組で楽しんで観てたアレ(wikipediaによれば、そもそも繋がってるということのようだけれど)、というほぼ出落ちがポイントではあるのだけれど、その事態に対処すべく訪れてくる人々に対して返す言葉が限られていることを逆手に取って耳慣れたあの幾つかの台詞というのも巧い。最後に妹の姿が見えるというオチ、ワタシは知らなかったけれど調べれば、ああなるほどという辻褄あわせと洒落っ気が楽しいのです。

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2022.01.12

【芝居】「サワ氏の仕業・特別編」ジャブジャブサーキット

2021.12.18 14:00 [CoRich]

ジャブジャブサーキットで実験公演として位置づけられる「サワ氏の仕業」の最新作は、短編3本を組みあわせたミステリー仕掛け。90分。12月19日まで、こまばアゴラ劇場。

ウイルス研究所、課長と主任と名乗る二人が潜伏期間がある新たなウイルスの開発をしている。そのDVDを見てい男女と若者が働くどこかの山奥の施設、老婆がいなくなる老婆はかつて孫を川の事故で亡くしている。裏カジノで行われる勝ち抜きの大会に挑むのは行方不明になったギャンブラーの父を探す女。

研究所、施設、カジノの三つの物語ではあるけれど、観ているDVDの中の出来事だったり、老婆が訪ねていく先だったりとゆるやかに時間や空間を継ぎ目なく繋ぎます。会話そのものは平易で密度が高いのに、物語としては不条理でどこに進むかサッパリわからない雰囲気は、久々の「リハビリ公演」とは銘打ちつつも、作家・はせひろいちの真骨頂をフルスロットルに。「こういうもの」だと思って観てるからワタシはワクワク楽しいけれど、これはこれでなかなか人を選びそうな感じではあるのです。

そんな煙に巻かれつつも、幼くして孫が亡くなりそれをきっかけに息子夫婦が離婚することをすまなく思う老婆の心情だったり、虚無僧ならぬコムジョを名乗るパフォーマーによる迫力ある尺八だったり、父娘の確執だったり、コロナ陰謀論めいた語りだったり、と盛りだくさんに物語の断片が詰め込まれていて、その中で漂うように眺める楽しさなのです。ダンスこそないのだけれど、なぜか「維新派」を思い浮かべたワタシ、どうしてだろう。

4桁の数字当て、ゼロなし・ダブり無しという条件だけで一意に数字が決まるというのは思いも寄らなかったけど、シンプルにその通り。そういうはっとする瞬間がいくつもあったりする魅力なのです。煙に巻かれることも多くて、それがちょっと鼻につくこともあるのだけど、今作、ワタシには程よく。

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2022.01.08

【芝居】「Transcendent Express」Cuebicle

2021.12.12 14:00 [CoRich]

元・劇団銀石(未見)の佐野木雄太によるプロデュースユニット・Cuebile初のプロデュース公演。2017年に演劇祭の一本として上演された作品(未見)の再演。12月19日まで上野ストアハウス。90分

上野発の「婚活列車」に乗る二人の男。未婚を満喫してきたが未婚は犯罪者同然に扱われるようになりなかば渋々乗り込んでいる。一人は頭痛を鎮静剤の乱用で抑え込んでいるが、かつて列車で旅をして行き先の秋田までの途中で自ら降りた過去を今でも思い出す。カップリングのための数々のイベントで、カップルになれば途中駅で下車していく。若く安定を求める女、年上で高望みする女など逢瀬を重ねるが、秋田から乗ってきた女に目を奪われる。

婚活列車と男女の軽口の会話をベースにしながらも、過去の出来事に囚われる男と女をめぐる物語は、ダークミステリーの風味。舞台の上で行われる動きや見え方はスタイリッシュなんだけど、オーバードーズとか、男二人が女を品定めとか、陰謀論めいた樺太への宗谷トンネルへの逃避行とか、(いわゆる昭和の)大衆小説の雰囲気をまといつつ、演歌とかアングラ芝居とか、やけに昭和な印象を残すのです。

物語としての説得力は皆無に感じるワタシだけれど、壮大な嘘だらけの物語をきっちり見応えのあるエンタテインメントに仕上げるのは確かに芝居のちからなのです。作家は初めてなのでよくわからないけれど、演出のフジタタイセイはこういうツクリモノな舞台が実にいいと思うワタシです。頭痛持ちの男を演じた鍛治本大樹、友人を演じた佐野功の鼻持ちならないエリート臭な雰囲気がやけに格好良く、秋田から乗ってくる女を演じたハマカワフミエの謎めいた人物造型も印象に残ります。

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2022.01.04

【芝居】「『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』」ムシラセ

2021.12.11 15:00 [CoRich]

2019年に演劇祭での短編として上演された30分の短編と、その1年後を描く新作を組みあわせて110分。12月12日までオメガ東京。

売れた漫才師が若くして死んだ通夜、師匠など芸人たちやファンの女に混じり、同期だが売れていないコンビは自分たちを振り返る「つやつやのやつ」
死んだ芸人を想い続けるファンの女、一周忌の日に劇場の楽屋口に居る。劇場入りする芸人たちに混じり、芸人になりたい女子高生が友達を無理に連れてきて入門しようとする「ファンファンファンファーレ!」

王道から脇道のベテランや中堅たちさまざまにグラデーションで描きながら、亡くなった芸人と向き合い芸人であることの生き方を考える「つやつや〜」。初演の演劇祭で最優秀となった圧倒的な安定感と、鬱屈とした中から見えてくる希望で終わる前向きの物語はそのままだと感じたのは、ほとんどの役者が初演からそのままスライドしていたということもあるのかもしれません。物忘れの大御所を演じた山森信太郎はなあなあでごまかす感じが(第三者として見る分にはw)可愛らしい。カブキ姐さん・ウィスパーという飛び道具系芸人を演じた菊池美里、つかてつおは振り幅めいっぱいで楽しい。

その1年後を描く「ファン〜」。ところどころ「つやつや〜」の役者も出てきたり亡くなった芸人に繋がる物語ではあるけれど、別の視点で芸人を巡る物語。こちらはファンで居続ける女たちと、ファンから芸人になろうとする女たちを中心にファンと芸人の境界線上の人々を女性中心に描きます。ファンで居続けることも、あるいは芸人になることも「コスパ」は決して良くないけれど、好きを好きでありつづけられる熱量は確かに若さゆえで眩しく感じるワタシです。無理矢理連れてこられた友人という鋭く冷静な視点の役を一人置くことで相対的に見える風景もきっちり。本筋には関係ないけれど、たった一年老いただけでボケまくる菊池美里の破壊力が凄い。

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