【芝居】「カナリヤ」日本のラジオ
2021.11.20 18:00 [CoRich]
2015年初演(CoRich)の2020年5月再演の中止を経て、1年半ぶりの再演。私は初見です。80分。11月23日まで駒場アゴラ劇場。取材ノートと名付けられた物語世界そのままのカラーの当日パンフ付きがすばらしい。
母の食事に毒を盛り、観察し続けていた少女が医療少年院を出たとき、「ひかりのて」の幹部となっていた兄は教団内部に妹を匿うが、妹自身は教団の教えに忠実ではないものの、そこで暮らしていた。新たな出家信者、広報、怪しい小包を運ぶやくざ風の男、取材といって出入りするオカルト系ライター。
オウム真理教の史実を骨組みに世間から隔絶されつつある教団の広い部屋を舞台に描かれる物語。パンフはその前日譚からさまざまな背景を補強していて、この教団が三人の幼なじみが立ち上げ、三人はそれぞれに幹部となっていて、様々を経て大きくなった戸惑いもあったりということがわかります。この場所を作った一人は、前科を持つ妹を匿うように暮らしていて、その薬物の能力が緩やかに教団につながり、しかしテロ事件を起こした薬物はまた別のもののようで。
教団を骨組みにしながら、物語を貫くのは幹部の兄と匿われる妹、それぞれの想い、とりわけ兄の想いとして感じるワタシです。想いがあるから匿うし、その能力を直接にはつかわないという想いの深さ。それまでは教団のいわゆる「手かざし」をしなかった妹が終幕にはもう帰って来られないことを感じ取って行うというのも丁寧な描き方なのです。
信者を「アンダ」、外部の人間を「アウタ」と呼ぶような造語も教団ぽさを補強します。
兄を演じた横手慎太郎は妹を想いながらも教団の存続を優先しようとする造型の説得力。妹を演じた沈ゆうこはのほほんとしているように見えてしかし持っている能力とそれを使うことにためらいがないという人物をきっちり。広報局長を演じた田中渚はきっちりスーツ姿、正直に云えば体型ぴっちりでなんか凄い。取材者を演じた安東信助は軽口を叩いて物語の序盤を私たちの視点から繋げるブリッジを。
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