【芝居】「IN HER THIRTIES 2021」TOKYO PLAYERS COLLECTION
2021.11.20 14:00 [CoRich]
「一人の女性の十年間を住人の女優が演じる」スタイルで、20代半となる「~TWENTIES」( 2011年 2013年 2020年は配信で視聴) の続編。2014年に大阪のみで上演された30代版を東京初演。ワタシは初見です。2011年版で20歳、2020年29歳の役を演じた榊菜津美が企画し30歳を演じることも評判の80分。11月21日までサンモールスタジオ。
出版の仕事を続けている女。30歳になった。異動先の上司に振り回され、独立する同僚からの誘いを断り大手の転職を勝ちとったものの、疲れ切って仕事を辞め無職の日々を過ごしたり、フリーランスで働き始めたり。この30歳台、恋はあんまりなかったけど、遠距離恋愛の彼と別れた頃に仕事で出逢って飲み会帰りに二人きりで延々と(清澄白河から調布まで)歩いた男の事が忘れられない。
舞台奥に上手端の30歳からゆるやかな弧を描いて下手端の39歳という形、無関係な二つの「時(場面)」を重ね合わせて会話のように見せるメリハリなど「~TWENTIES」と同じフォーマットの上に、20歳台に負けず劣らずに激動の、しかし年月を経て手に入れた人脈やスキル、あるいはある種のタイムリミットに焦ったりというグラデーションを描きます。
正直に云えば、役者がどの年代に振り分けられたかによって強弱が付く感じは変わりません。とはいえ、別のシーンの相手役の声など、役者それぞれに作演がきちんと配慮しているようにきちんとフックアップしているように感じられる舞台の空間にはワタシは心地よいのです。 (芝居を見るだけの筈のワタシで内部事情をする由の演出と役者の関係を云うのもどうかと思うけれど)
恋心とか、傷ついた心などを俯瞰できるようになった年代。あるいは仕事のスキルを得て、次の場所を探す物語のラインは50を過ぎたワタシにも響くのです。枠組みが変わって上司が替わってストレスを感じて辞めたりも聴いたりする昨今だから響いちゃったかとは思いつつ。
どうしても見慣れた女優が固まる後半の印象が強くなってしまうワタシです。 37歳を演じた工藤さや(@kudou38)、いわゆるプー太郎状態で自分を褒められないけれど、しかし「休む」ことの重要さをコミカルきちんと描き出します。38歳を演じた石井舞(@mai_141)、39歳を演じたQ本かよ(@qmoto) はあのとき断った同僚の活躍を羨む気持ち、しかしこの30歳台を総括し次に進む希望をきちんと。
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