【芝居】「すこたん!」serial number
2021.10.31 14:00 [CoRich]
11月7日までザ・ポケット。 120分。
雑誌を通じて出会ったゲイ男性のカップル。デートしたりする日々の中、ニューヨークで行われたパレードに参加し、性的少数者たちが豊かな暮らしを享受している高校を見学に行き、衝撃を受ける。
カヌー好き、家族が居てカヌーの後に隣り合ってソロキャンプをする日々のふたり。
家庭教師をしている男、固い会社で他人には言えない。その教え子の男子高校生に惹かれるし、気付かれる。
大学生になってシェアハウスで暮らす二人。自分はゲイではないと思っている男と、ゲイを自覚している男。
人を家に上げない男、ある日公演で男を「拾う」。
同性愛のありかたについての講演を当事者カップルが行うところをスタート点にする「すこたん企画」 (1, 2, 3, 4) をはじめたゲイのカップルを主軸に、そこに寄せられたゲイカップルの物語を点描しながら物語を進めます。舞台中央に大木という感じ、人々が暮らしてきた時間と広がりを表すようないわば樹形図となりずっとそこにあり続けます。
90年代からの二人の歩みは、人目に付かないよう隠れてくらす性癖だと思われていた時代(デートの時に必ず車で出かけ店に入るのを躊躇する、というのは象徴的)から自己肯定を獲得する日本のゲイコミュニティの歩みを見ているよう。これが現実に基づくものなのだということは、ワタシの知らないところでこう生きてきた人々がいる、ということを改めて知る機会になるのです。知らないことといえば、プライドパレードのもととなったストーンウオールの反乱(Wikipedia)であったり、学校に於ける講演という活動で投げつけられる心ない言葉であったりも同様で心に刻まれるのです。
周囲を彩る物語の数々。家族が居るけれどゲイであることをカミングアウトできない男とゆるやかに繋がるカヌー仲間という大人な雰囲気のゆったりとした感じ、かと思えば年齢差の家庭教師と高校生は惹かれ合うのに拒絶する大人の誠実さ。大学生の二人は異性愛者だと思っている男の側が人物を理解しながら受け入れることは出来ず、あるいは恐れすら抱いてしまうところからの幸せな着地。拾われた男と拾った男はどこか傷つけ合うように、しかし離れがたい二人の辛さ。
時に傷つけることはあっても、思い合う二人があたりまえに暮らせるようになることの尊さが溢れる物語。ワタシは当事者ではないけれど、そうあってほしいということを改めて感じるのです。
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