【芝居】「RAFTでDADADA」タテヨコ企画
2021.10.30 19:00 [CoRich]
休憩10分を挟み100分。RAFT。31日まで
久々の飲み会、混んでいる中、二次会に後輩が見つけてきた店は居酒屋の横並びのカウンター席。気まずいなかぎこちなく話をするが、劇団のリーダは何か言い出せないことがずっとある。「愛してるよ、ビール!」(作・演出 岡本苑夏(ソラカメ))
2020年病院に訪れた患者はかつて婚約していた男だったが、全ての記憶を亡くしていた。大学生の時に出逢った男は地球の回る音を聞くために地面に耳を付けていた。一緒に暮らすことになったが女が働くようになっても仕事らしい仕事もせず、浮気が元で男は消える。女は幾つかの恋を経て失恋で訪れた海岸で男に再会し、穏やかに暮らし婚約したが震災をテレビで見た男はボランティアに行くといい再び消える。女も被災地を訪れる中、男が訪れていたことを知る。「地球が回る~ひとの思い出話ほどつまらないものはない~」(作 青木柳葉魚、横田修 演出 青木柳葉魚)
客席は劇場の一番奥、道路に向かう感じで配置。
「ビール〜」は売れてるという感じではなくても続いている劇団、アルバイトで厳しい日々をすごしていても、作演を兼ねるリーダに皆がついていっていて盤石なチームに思えたけれど、その彼女が経済的に立ち行かなくなって芝居を辞める(休む)ことを話したいけれど話せない前半。 二次会を探す人々の大声の感じやあるいは役者たちという役の誇張した大声の面白さで始まり、ぎこちなさとか物語が進まない感じはあるけれど、終わって振り返ってみれば、言い出せないリーダーの心象で見えてる時間の流れという感じがしたりもします。
切り出してからの後半、彼女を拠り所としている古株から若手まで全員が全力で引き留める。流されるように乾杯、仲間たちの熱さとも言えるけど、良くも悪くもタコツボ感にも見えたりします。リーダがこのあとどうしたか、戻ることになるのか、離れるのかは語られないけれど、何かが人々の分岐点を切り取ったごく短いスケッチ、自分にもあそこがそうだったなぁと思ったり思わなかったり。
リーダを演じた舘智子は皆が慕う人物造型の説得力。中堅を演じた市橋朝子、西山竜一、久行志乃ぶはそれぞれの関係性だったり互いをダメとか手堅いとかわかってるグルーブな雰囲気。若手を演じた田中彩優希、ミレナは理不尽なことに耐えて、しかしリーダーを慕う圧倒的な気持ちをしっかり。
「地球〜」はとても久しぶりに会った元カレが記憶喪失で、その思い出をいくつかリフレインする体裁で進みます。ところどころですれ違い、足跡を感じ、正面に向き合ったと思ったら相手は記憶がないという悲劇といえば悲劇。全体にコミカルに描きつつ、ほろ苦い年齢を重ねた大人の物語なのです。
入口側のスペースと劇場側のスペースをスピーディーに切替えながら使う小屋の使いこなし。モニタを字幕のように使い、終幕はスクリーンに海の風景を写して広がりを感じさせるのです。
現在の二人を演じる舘智子、園田シンジは年齢を重ねた大人の二人の刻まれたものがある説得力。 回想の二人を演じる内田めぐみ、中根道治は互いに困らせられたり、決して互いに似ているわけではないのだけれど、最小限の役者で構成された舞台は時間軸に並ぶ二人が思いのほか判りやすいのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「静流、白むまで行け」かるがも団地(2023.11.25)
- 【芝居】「〜マジカル♡びっくり♧どっきり♢ミステリー♤ツアー〜」麦の会(2023.11.25)
- 【芝居】「未開の議場 2023」萩島商店街青年部(2023.11.19)
- 【芝居】「夜明け前」オフィスリコ(2023.11.19)
- 【芝居】「好男子の行方」オフィスリコ(2023.11.12)
コメント