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2021.08.16

【芝居】「trust」serial number

2021.7.18 12:30 [CoRich]

日本初のバイアウトファンドを舞台にしたhedgeシリーズ三部作の最新作は独立した一本として140分。7月19日まであうるすぽっと。

インサイダー取引で金融庁の調査を受けてから数年、持ち直してきたバイアウトファンド。激しい競合状態のPHSの業界二位の会社が勝ち抜くための戦略を進める大きな事案を進める中、代表の一人は商社勤めの友人から持ちかけられ、フェアトレードコーヒーの会社の立ち上げの相談に乗る。

hedgeで始め、insiderで波乱を経て力を取り戻しつつある会社。通信事業者という大きな事案を受けるようになっているけれど、一方で社会の問題を解決するために資金が必要な人からの声を聞き、規模は小さくてもそこに必要な資金と続けて行くことが必要なのだと考える人。会社の中での対立というわけではないけれど、それまでは一枚岩で金融という軸で一致していた考え方が、「金ではないリターン」という新たな評価軸に気付くまでの流れを物語にするのです。

テッキーなワタシとしてはPHS会社を巡る2005年ぐらいの時代を反映したような(恐らくはサブに据えられた)物語が好きな私です。当時三社あったPHSの中のDDIポケット(あるいはWILLCOM)と、業界三位のアステル(劇中ではアシタテル、だったかしら)との料金プラン戦略の発表前の漏洩を巡るあれこれ(そこに素人が金融に巻き込まれつつあるFXという単語も混ぜつつ)、日本でのiPhone、スマートホンの端緒となるW-ZERO3っぽい端末が未来といて見えていたあのころを思い出すのです。(ついついこのあたりを眺めてしまうw)

シリーズ初の女性出演者を加えて語られる物語は軸となるフェアトレードコーヒーの物語。商社の中でその仕事に就き、重要性に気付いたけれど会社の中ではその意思を貫徹できないということに気付いた女性たち。とはいえ大きな会社の後ろ盾で「看板」としての役割だからできたことをどう続けるか、重要だけれどいわゆるキレイゴトだけでは持続しないことをどう続けて行くのかについて相談を持ちかけたバイアウトファンドの代表と仲間(の一部)が共に歩み始めるという物語の着地点は人々の営みがまだ、希望を持てる社会なのだという、作家(そしてワタシ)の願望にも思えるのです。

前二作では男性の役者たちだけで作られていた物語ですが、今作では女性が加わります。フェアトレードという題材、あるいは大きな会社から社会に必要だとスピンアウトする人々という位置付けを背負うのはステロタイプな気はするけれど、キリキリと胃が痛むような金融の世界と、人々が営む生活にソフトに繋がるようでどこか安心を感じたりするワタシです。

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