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2021.07.12

【芝居】「どこか行く舟」Pityman

2021.6.12 16:00 [CoRich]

2012年にAAF戯曲賞を受賞した室屋和美による二人芝居を山下由の演出による上演。110分。6月16日まで新宿眼科画廊0。

出会い系サイトで知り合い、女の家を訪れた男。女の実家で集会が行われる新興宗教で繋がっていることを知り、男は家をよく訪れるようになる。男は結婚しているが妻は殴るといい家に帰りたくないという。女は自分のことをだらしないといい、他の男とも出会い系で逢い続けている。

女の家を訪れる男というシチュエーションを重ねて語る物語。出会い系でさまざまな男と奔放に付き合い暮らす女と、家庭も仕事もあるけれど居場所がなくてこの女の家にいる時間が愛おしく不倫とはいえ一途な男の対比。いわゆる色っぽいシーンはほとんどなくて、穏やかに会話をする二人の積み重ね。男関係に限らず人間関係一般ですら年賀状4枚とか働きたくないから出会い系と、見方によってはだらしない女で、どこまでも優しく男を受け入れるように見えて別の男の影が見えるシーンでは嘘泣きはするし、あとから電話で呼び出したりと、誰に対してもフラットに描かれる感情のありかたは何にも拘泥すること無く、漂うように生きているという浮き草暮らしという感じなのです。

序盤こそ、同じ新興宗教を根っこに持つという共通項があり会うようになるのだけれど、二人は逢瀬の時間を共有していても、男は自分の居場所、女は何かの感情は捨てて生きていくための方法と割り切っていて、不思議なほど感情の行き来がなくて低い温度のままであって、それは実に儚く崩れるのです。

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