【芝居】「おのまさしあたあ ひとり寄席 其の一」おのまさしあたあ
2021.5.28 19:30 [CoRich]
一人芝居のシリーズ、いつもと趣向を変えて短編二つで構成。休憩込み60分。5月30日までベイサイドスタジオ。
一人暮らしのご隠居は人使いが荒く使用人が居つかない。それを承知でやってきた新しい使用人は黙々と仕事をこなし三年が経ったが、主人が近くの怪物がでると噂される洋館に引っ越すと聞き、怖がって暇をもらってしまう。引っ越しも終わり、一人のご隠居、夜中になりぞくぞくっとすると、牙の鋭い男が現れたので、早速用事を言いつけこき使う。翌日はつぎはぎだらけの大男が、三日目は月夜に獣に変身する男が現れるが、同じようにこき使う。「怪物使い」
神と悪魔が、学者の老人をたぶらかせばという賭けをする。老人の前に現れた悪魔は、死後の魂の交換のかわりに現世のあらゆる快楽と悲哀を味わわせるという交換条件をのみ、世界の王にする。700ページの長編を30分にぎゅっと圧縮し「ファウスト」ならぬ「ファースト」
落語「化け物使い」に着想した「怪物使い」は引越し先を洋館に、もとは一つ目、大入道、のっぺらぼうと代わる代わる現れる化け物を、ドラキュラ、フランケン、狼男に置き換えて、牙だったり喋れなかったり、月夜のことだったりとリメイク。もともとの落語では三匹の化け物は一匹のタヌキが化けていて「化け物使いが荒い」というオチなのだけど、今作で最後に現れるのはキャップをかぶり黄色い髪の子供、つまりあのキャラクタ。一人が化けているわけではないけれど、リーダーというか保護者的立場だから出てきたってことかしら。まあ置き換えの面白さ。
落語風に着物姿で高座にあがるけれど、いわゆる「上下を切る」喋り方はあまりなくて、ちょっとめずらしい感じ。題材の特性なのかもしれないけど。口調はもともとの役者自体がどこか噺家という雰囲気の喋りでもあるので、違和感はびっくりするほどなくて。
「ファースト」はギュッと圧縮して、といいながら、世界の王はつまり世界のホームラン王・王貞治になる、つまり「ファースト王」が多重に掛詞になる面白さ。ホームラン王になりつつも、その価値を感じ取れない男が世界記録の前日にデットボールというフィクションを巧みに混ぜることで、難病の子供の約束で打席にたち、世界記録を打ち立てるという、どこかでみたような感動物語をあえて混ぜて、ホームランを打つ瞬間を「時間よ止まれ」の一言で「ファウスト」に回収するのが見事なのです。
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