« 【芝居】「タイダルロック」あひるなんちゃら関村個人企画 | トップページ | 【芝居】「Smells Like Milky Skin」MCR »

2021.05.15

【芝居】「明後日の方へ」カクタラボ(KAKAUTA)

2021.4.24 18:00 [CoRich]

KAKUTAによる実験場企画の第一回。コロナ禍による一年の延期を経ての上演は、4/25まで予定でしたが緊急事態宣言の発出により24日まで。小劇場楽園。西山聡の作演による5本の二人芝居短編集。休憩10分を含み110分。

  • 駐車場で車を擦られた新婚カップル。隣のベンツが犯人だとビビる夫、喧嘩する気満々の妻だが、持ち主が「駐車場の二人」
  • マラソン大会給水所の係員二人が走者を待っているが来ない。細かい所に気がつく女とわりと大らかな女、それは血液型に由来する、のか「待ってる二人」
  • 連れ込み宿の政治家と愛人、政治家は女と縁を切ろうとするが女は諦めない「西日の二人」
  • イメクラに来た男は自作の台本を持ち込んでいる。恋人を亡くした女を慰める幼なじみのウブな設定で暑苦しく演出しようと「海辺の二人」
  • 兄弟が富士登山に向かったがバス酔いで戻ってくる。妻を亡くした兄は残されたノートに書かれたことを実現したい「大晦日の二人」

元クロム舎で今はブラジルに所属する西山聡の、ちょっとコミカルでままならない人々のスケッチ集、という風合い。

「駐車場」で遭遇した出来事に妻は喧嘩腰、夫はビビりつつも新妻の手前威勢を張るけれど、その原因となった相手の運転手が初恋の人と知った妻の掌返し。あからさまにひっくり返すさまが楽しく。

「待ってる」は血液型のステロタイプな性格モデルに縛られて生きてきた女が実は血液型が違ってたと知り自分の根本がひっくり返るさま。A型生真面目、O型おおらかみたいな雑な性格っぽい二人のコントラストの楽しさ。A型を演じた酒井晴江の生真面目キャラが印象的に。

「西日」は昭和を思わせる、政治家と愛人。捨てられそうになり縋る愛人だけど、政治家が繰り出すナイフも拳銃もロープもあっさり打ち勝つ女の身体能力の高さ、というコミカル。昭和の角栄を思わせる政治家の造形、怨念のように長い髪を振り乱す愛人のプロレスのデフォルメの楽しさ。政治家を演じた細村雄志の昭和な政治家のデフォルメの楽しさ。

「海辺」は純情ロールプレイをイメクラでやろうという不器用で暑苦しい男と客をあしらいつつしぶしぶ付き合うイメクラ嬢のコントラストだけど、その暑苦しいロールプレイの間に見せるイメクラ嬢の恋心の瞬間がリリカル。観劇数激減の昨今、男を演じた森崎健康のつかこうへい的(または清水宏的)な暑苦しさが懐かしささえあってジンと来るワタシなのです。

「大晦日」亡妻の思い出に縛られる男と励ます弟。思い出に浸ろうとすることがことごとくできずままならないけれど、そこから抜け出す第一歩が見えるちょっとじんとする感じ。弟を演じた谷恭輔がやけに可愛らしく優しい表情がとてもいのです。

エンディング、出演者と作演が歌う「明後日の方へ」(YouTube)(曲・中村中)、作演が役者たちにぞんざいに扱われる感じも、なんかクロム舎みを感じて思い出したりするのです。

|

« 【芝居】「タイダルロック」あひるなんちゃら関村個人企画 | トップページ | 【芝居】「Smells Like Milky Skin」MCR »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【芝居】「タイダルロック」あひるなんちゃら関村個人企画 | トップページ | 【芝居】「Smells Like Milky Skin」MCR »