【芝居】「リーディングトライアルNo.1」ベイサイド実験室2021
2021.2.20 14:00 [CoRich]
ワタシ的に、2021年の最初の劇場観劇です。
ネオゼネレイター・プロジェクトの大西一郎が企画する実験室的公演。演目は日替わりのようです。28日までベイサイドスタジオ。2時間のアナウンスでしたが、初日は休憩ありの155分。
- 「なりきり自己紹介」(前半)他のメンバーが書いた架空の人物の言葉を読み上げ、その人物になりきって受け答え
- 「着納め」(作・清滝美保) 女と使用人。もう紫は自分に合わない、老いたかという女。
- 「かんしゃく玉」(作・岸田國士, 青空文庫)
- 「厩火事」(古典落語)
- 「なりきり自己紹介」(後半)
- 「眠れない停電の夜に」(作・尾道幸治) 横浜の大停電の夜、ラジオパーソナリティが語りかける記憶が定かでないぼんやりとした話。横浜までは記憶があるけれど。
- 「麵麭屋文六の思案」(作・岸田國士, 青空文庫)
「なりきり自己紹介」は、他の役者が書いてきた人物のセリフを読み上げたあと、その役になりきって質問に受け答えするというもの。彼らがワークショップ的に使っている手法のようですが、役者の人となり、あるいは書いた役者の考え方のベクトルが見えるようで楽しい。
「着納め」は、女が着物が年齢に合わなくなってきたと寂しく思う気持ちを発端に、過去の華やかな日々を経て今は(おそらく)地味な男を伴侶としたけれど、男の少し優しい言葉を聴いて愚痴の言い納め、着物の着納めに至る気持ちの変化を描きます。繊細で解像度が高くて沁みてくるよう。
岸田國士は著作権が切れてよく上演されるようになった、という演出家のコメントでの「かんしゃく玉」。夫の友人たちが目をかけるのは妻ばかりという構図、男こそ働いてなんぼが当たり前の時代ゆえだけれど、かんしゃく玉を投げつけるという突飛さがなんかとても瑞々しく、どこか微笑ましさもあって何度観ても楽しい一本。
落語から「厩火事」。犬も食わない夫婦げんか、しかし妻は夫のことをちゃんと思っていて、男の方はといえば、という古典。不満をまくしたてる妻と辟易する仲人の会話のリズムが楽しい。
「眠れない停電の夜に」はラジオパーソナリティが出逢った不思議な体験が放送に乗っての出来事。東横線、横浜を過ぎてぼんやりする、というあたりがポイントになる時代の流れを下敷きにした物語。停電が起きてラジオDJが妙なテンションになってるという体裁だけど、前半の行方が見えない時間がもうちょっとスピードアップすると嬉しいワタシです。
「麵麭屋文六の思案」これも岸田國士。ケラリーノサンドロヴィッチの上演は観てるはずなんだけどすっかり忘れてるワタシです。思い通りにならない息子や娘を抱えた父親。丁寧な会話を紡ぐ物語とみせかけて、豪快にひっくり返す楽しさ。
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