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2020.12.07

【芝居】「夜盲症」柿喰う客

2020.11.21 18:00 [CoRich]

5月に上演を予定していた作品をコロナ禍で延期、改訂し65分で上演。スズナリ。11月22日まで。

実業団の強豪女子ソフトボールチーム。外界と完全に遮断した日々を送っている。チームに加入した女子野球のエリートは父殺しの犯人がチームにいると聞き入団を決めるなど、みな癖のある選手たち。東京オリンピックが近づいたある日、寮の内部での盗撮映像が流出する。

元々上演される予定だった作品はおそらく女優ばかりのいわゆる百合的なスキャンダラスな物語を骨格にオリンピックをちょっと揶揄するような立ち位置だったろうなと想像します。コロナ禍に対しての「アートにエール」企画(YouTube)はその元の形の設定がよく見えるよう。5ヶ月の延期を経て、恐らくは自死やセクシーさなど「不謹慎」なものを自主規制するというテイストをメタ的に加えることでリミックス版のように凝縮感をもった芝居になったのだと想像します。

それぞれの役がきちんと背負ったものがあり、男と望まれた女だったり自死した父のこと、貧しい生まれの女、アイドルな立ち位置でいる女、オリンピックに出て婚期が遅れることを恐れる女、絵に描いたようなガリガリの右翼や生き字引など物語は満載。おそらく短縮されたであろう65分で全ての人物を描こうとした結果、女子野球のトップアスリートを演じた永田紗芽と死神と恐れられる唯一のプロ選手を演じた福井夏を核にするものの、物語を運ぶよりもそれぞれの人物の背景を魅力的に見せるという感じになっています。

女優ばかりのややセクシーな構成といえば、この劇団には女体シェイクスピアという人気シリーズがあるけれど、あくまで古典の物語を運ぶことを主眼とするこのシリーズに比べると、より自由度は高く役者たちそれぞれの魅力を引き出すように感じるショーケース的な仕上がりは、それはそれで楽しいのです。

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