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2020.11.20

【芝居】「常闇、世を照らす」 JACROW

2020.10.31 14:00 [CoRich]

田中角栄を描く三部作、総理大臣を辞めてから田中真紀子が立候補するまでを描く終結編。135分。11/8までサンモールスタジオのあと新潟。

ロッキードの疑惑、総理大臣を辞めてから。自民党を辞めても、党外から田中派を率いる。盟友大平を総理にし、しかし亡くし。忙しかった日々、訪れる人は減っていき、酒量が増え。娘・田中真紀子は妾を持つ父親を憎んですらいる。ある日、角栄は倒れ麻痺が残る日々、真紀子は立候補を決める。

一度は昇りつめたあと、汚職の疑惑から総理大臣を退いてからの日々。無実を信じ復活の日を思い描きながらも自民党を離れ、党外から田中派を率いている日、盟友・大平正芳を総理にしたが病で亡くし、竹下登の創政会結成など明確に自分の地位が脅かされ奪われていくなか、多量の飲酒、脳梗塞を経て表舞台から消えていくのです。盛りを過ぎた男がこれまで家族を蔑ろにしてきた負債を、まの辺りにする日々。

倒れてからの日々は政治の表舞台に立つことがなくなり、今作では台詞は極端に減り、父親を嫌っていた田中真紀子が主役のようになっていきます。あの頃、国会に現れないのにずっと国会議員でいるという角栄という政治家の力をぼんやり見てたけど、なるほど、こういう流れか、と今さら確認するのです。終幕、田中真紀子の街頭演説は一本目の冒頭、田中角栄の台詞なのです。もちろん、田中真紀子が三国峠を切り崩し、佐渡との間を埋め立てるなんていう演説をするはずも無いけれど、繋がっていく、という作家のフィクションなのだと思います。

私の記憶にある政治家が沢山出ているのが私のリアルタイムに近づく感じで嬉しい。金丸信を演じた岡本篤、全く雰囲気は違うのに、政治家に見えてしまうのは角栄を演じた狩野和馬の雰囲気で、まさか山梨の地味な政治家を描くのかしら、作家が。今作で初登場の娘・田中眞紀子を演じた川田希もまた全く違う雰囲気ですが、父を思う気持ち、新たに立ち向かう気持ちがよく現れています。この女優が演じた大塚家具の娘の物語とは正反対の役だけれど、説得力があるのです。(大塚家具を巡るニュースを聴いたばかりからかもしれません)

 
2020.10-11 サンモールスタジオ りゅーとぴあ能楽堂
田中角栄 狩野和馬
中曽根康弘 谷仲恵輔
二階堂進 山森信太郎
金丸信 岡本篤
小沢一郎 菊池豪
木村武雄 菅野貴夫
山東昭子 福田真夕
福田赳夫 小平伸一郎
大平正芳 内田健介
竹下登 今里真
佐藤昭 小林あや
朝賀昭 青木友哉
辻和子 井口睦惠
辻眞佐 江口逢
田中眞紀子 川田希
村人 内田健介/菅野貴夫
 

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