【芝居】「線路沿い獣道」ドリルチョコレート
2020.10.11 15:00 [CoRich]
こういう状況でも新作にする、という心意気。開演前の注意事項のコミカルさも楽しい。10/11までスズナリ、休憩無しの65分。デジタルパンフレットがついています。
荒くれがちゆえに疎まれがちに育った男の物語。子どもの頃を描く前半では、絶望の中だけれどどこか微笑ましい初恋の物語にはどこか一縷の希望があるよう。成長してからの後半を描く後半、初恋の彼女と暮らしていても何も好転せず、子どもの頃からの絶望がそのまま地続きになっている男。
結果逮捕されてしまってこれで終わり、と思うけれどそこから見える風景はかつての友人たちが熟成し変化しているのです。一人は半グレのサラリーマンになっていて、年上だった男は弁護士になっていて弁護を引受け、出所した男を幼馴染で初恋しそこねた女が迎えるのです。二人で訪れた観覧車はかつてのダブルデートの場所。観覧車のシーンといえば、かつてのキャラメルボックスの芝居が印象的な私ですが、劇場が小さいこともありずっとシンプルな装置で同じぐらいの印象を残すのです。
絶望を続ける男を演じた櫻井智也の安定感、母親を演じた真嶋一歌は夜の女の雰囲気を濃密に。子供だったのに同じような感じになっていた初恋の女を演じた三澤さきの振り幅は女の一生を見るよう。迎えに来た女を演じた佐賀モトキ、かつての派手な雰囲気が印象強すぎてしばらく同じ役者と気づかなかったワタシです。中学生なのに小学生と遊んでいる澤唯のちょっと情けない雰囲気の前半、後半では弁護士となって希望の光になる説得力。
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