« 【芝居】「対岸の絢爛」TRASHMASTERS | トップページ | 【配信】「ラグランジュブランチ」あひるなんちゃら関村個人企画 »

2020.04.26

【芝居】「エール!」チーム・ユニコン

2020.3.21 17:00 [CoRich]

2017年初演の大規模災害の避難所を巡る物語の再演。120分。BONBON。席間を大きく開け、全ての観客は体温の申告しスタッフの目の前での手洗いをして入場、マスク着用必須という厳戒態勢での上演。

大規模災害の避難所となった小学校、公務員やNPO団体のスタッフなどが集う部屋。公務員は売れない役者をしている先輩を何か助けにならないか呼ぶ。避難所には引きこもりだったがやむをえず避難してきた少年とその父母、介護施設で働くシングルマザーと受験を控えた娘が居る。

それぞれの家族や個人が抱えていたであろう問題の日常から、大規模災害をきっかけに避難所にあつまり、否が応でもそれぞれの問題が表面化。 大規模災害の避難所で起きたであろうことのリアルと、それぞれの家族が抱えていた問題が描かれます。正直にいえば、それぞれのエピソードは突飛さとかオリジナリティあふれる、という感じではないけれど、誰にでも見やすく整理された物語。売れないヒーロー役者というある種の「異物」がその物語に加わることで、日常の暮らしが非日常になった人々に対比するように虚構と現実の狭間の役者という異なるベクトルの広がりを持つのです。

一歩間違えばステロタイプになりそうな物語に迫力を与えるのは役者の力。ヒーローな男を演じた近江谷太朗はやや浪花節の雰囲気を纏う悲哀をきちんと。夫婦を演じた竹内都子、藤井びんの丁々発止、自分勝手に見えて家族を思う力、時にそれは他人からは横暴なものになるヒールさを併せ持つのです。公務員を演じた樋渡真司の巻き込まれ側の困り顔が楽しく、NPO団体の代表を演じた今拓哉の力強く頼りになる造形の説得力。シングルマザーとその娘を演じた岩橋道子、木村玲衣が演じたきちんと生活し楽しもうという力の強さ。夫婦の引きこもり息子を演じた関根翔太と合わせたキャラメルボックスの役者も近江谷太朗とともに心強く。

まったくもって個人的なことだけれど、ワタシが初めて芝居というものを拝見した竹内郁子(劇団フロントホック、本多劇場)を舞台で観るのは随分と久々。あれから連綿と観続けてきた舞台がこんなにも長く中断する最後に拝見できたということも、ワタシにとって感慨深いのです。この芝居を観てから一ヶ月を超え、先は見えないけれどいつか劇場という空間で芝居を観る日を思い、しかし今はおとなしく過ごすワタシです。

|

« 【芝居】「対岸の絢爛」TRASHMASTERS | トップページ | 【配信】「ラグランジュブランチ」あひるなんちゃら関村個人企画 »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【芝居】「対岸の絢爛」TRASHMASTERS | トップページ | 【配信】「ラグランジュブランチ」あひるなんちゃら関村個人企画 »