【芝居】「東京ノート」青年団
2020.2.23 18:00 [CoRich]
インターナショナル版に続いてのスタンダード版。字幕のためのディスプレイがない以外はほぼ、同じ舞台の設えで。105分。吉祥寺シアター。
ワタシは1998年版から( 1, 2, 3, 4, 5) 観始めて幾年月、青年団の役者の入れ替わりも進みました。とりわけ今回の上演では、これまで本公演ではずっと次男の妻を演じていた山村崇子が能島瑞穂に替わったのが大きな変化で、長女を演じてきた松田弘子だけが初演からのメンバーになり、役者の年齢の違いはあれどそれを感じさせない完成度にまた安堵するのです。
ここ十年で青年団に所属する役者も様変わりし、第三舞台、キャラメルボックス、KAKUTAといった違うカラーの劇団に出ていた役者が青年団の役者として座組になってきていることも、どこか感慨深いのです。それでもちゃんとスタンダードなマスターピースであり続ける嬉しさなのです。
高い天井を生かした美術館らしさ。反面、どこかコストが抑えられたようなベンチや壁の雰囲気は、芝居の制作費の問題というよりは、美術館に私たちがかけられるコストが時代に応じてアップデートされた日本の立ち位置の変化を表しているよう、と勝手に感じるワタシです。
ワタシの観た回ではトークショーとして平田オリザ自身が語る背景など。けっこう観てるわりに映画東京物語を未見のワタシが今さら知る構造。田舎の両親と義理の娘、という東京観光を通して見える物語を、実家から年に一回上京して観光する長女と次男の妻という関係に置き換えたのは東京物語のような年嵩の役者を使えなかったからだ、という説明だったり、そこから敷衍して東京観光のあちこちというわけにはいかない舞台ゆえに東京らしい、美術館のロビーという設定なのだと思ったり。
観たいものを観て、切り取るというのは今作の中心となるテーマですが、その時々の社会のありかた、あるいは自分の年齢や家族のありかたで見え方というか感じ方が変化していくことも楽しい、ワタシにとっても時間の経過を感じるベンチマークにこれからもあってほしいと感じるのです。
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