【芝居】「寒がる寒がり」あひるなんちゃら
2020.2.16 18:00 [CoRich]
75分。OFF OFFシアター。19日まで。
父親が住む実家が火事になった。娘は家を出ていたが、実家をアトリエにして絵を描いていたが、火事でこれまでの絵を全部失ってしまった。 娘の勤める喫茶店にこっそり泊まり込む父親だが、オーナーに見つかる前に妹が父親を引き取ることにする。火事に遭った女を友人たちは慰めるために喫茶店を訪れたり、アルバイトの女を慕って後輩の女たちが入り浸りライトノベルの妄想が捗ったりしている。
家が燃えた父親と娘を物語の軸に、それまで描いていた絵を失うことをきっかけに絵を辞めてすっきりしたい気持ちも。 父親もまた、娘たちが大好きでちょっと疎まれながらも飄々とした雰囲気なのに、「住む」ということがどういうことかわからなくなって、人生の迷子になった感じ。平穏で穏やかに暮らしていた二人に火事をきっかけとしてしかし大騒ぎすることなく変わっていくこと。いっぽうで、かつての48色鉛筆を買って貰う約束が守られなかったことの拘りもあったりして。
周りの人々もさまざま。同情するあまり過剰に泣きそうになってみたり、恋を妄想して毎日遅刻するアルバイトに後輩達も想像の翼が開きすぎてていろいろ捗ったり。 失敗を取り戻したいオーナーは時間を戻すことは出来なかったけれど、進めるワザを手に入れるシーン、単に間を省略するだけでシーンが先に進んでいるだけなのだけど、観客は既に知っている隕石のことが知らされなかったり、ハワイに行った筈なのにその記憶がないなど、巻き込まれるもう一人を置くことで格段に面白くなっているのです。
喫茶店に3つしか椅子がないと指摘する父親に「見えてないようだけど、説明したくなかったけど、こっちにテーブルも椅子も広がってる」というシーンがちょっと好き。観客の想像力に喫茶店の広さを委ねるのもまた演劇らしい楽しさなのです。
劇団員以外の常連の役者をほとんど使わず、ほぼ初顔合わせとなった座組。丁々発止のリズム感という店では常連に一歩譲る感はあってちょっと流れはゆっくりめ。それでも、台詞と実は緻密な間はまさに「あひる節」で役者が変わってもブレない強さがあるのです。
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