【イベント】「無い光」(月いちリーディング 2020/2)劇作家協会
2020.2.22 17:00 [CoRich]
2010年のプロトタイプと、 2011年に単独の初演作のブラッシュアップ。若葉町ウォーフ。
終演後のディスカッション、作家は90年代の「完全自殺マニュアル」が流行った時代の空気感を丸ごと感じて欲しいのだといいいます。 あの時代感を、作家と同じように感じるには、同じ世代でもクラスターによるし、世代が違っていても共感できるかもしれない、というちょっとふわふわした感じはあります。高度経済成長の時代の誰もが同じ映画を見て、高視聴率のテレビ番組を見て、ヒット商品をみんなが買い、ヒットチューンをみんなが知っている、という時代からは変わってしまったあの時代を明確に造形して普遍的なものに昇華していくには要素をどう作り出すかが難しい時代ではあるのです。
死に近づくことがカジュアルになった時代の雰囲気、自殺で見えないが事故などで臨死体験で見える光。それは何かの希望のようでもあるのです。それまで露悪的なシーンも多かった作家だけれど、2010年のプロトタイプ(役者も良かった)で、鴻上尚史の「トランス」からのインスピレーションを受けて高校生の頃の屋上のあの空間の懐かしさを抱え込んで大人になったところに作家が共鳴したのだろう、ということを再確認するのです。
わりとあの時代の感覚を観客全員が持っているという前提で書いていたのだなということを改めて感じるけれど、MUのあらゆる上演でセルフライナーノーツで細やかに説明される当日パンフがあって、知らなくてもそこで読んだことを検索したり調べたりして追体験するということもするようになった時代です。観客がその時代の何かを知っていなくても、観客はちゃんとその時代を感じるという力はもっと信じてほしいとも思うワタシです。
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