【芝居】「十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-」feblabo
2020.1.11 15:00 [CoRich]
120分。20日までシアターミラクル。
父親を殺したとされた少年の殺人事件の裁判、結審し集まった十二人の陪審員たち。誰もが少年を有罪と考えていたが、合理的な疑問があり、明確に有罪と言えないとして、一人だけが無罪を主張する。
議論をめぐる会話劇の金字塔で、さまざまなバリエーションが作られている一本の物語。おもいのほか、がっつりと作り上げられています。
物語の面白さはきちんと。現在の日本に翻案するというわけでもなく、わりとそのままの時代に。二人の証人が本当に正しいことを言っているのかの疑いの可能性。本当に15秒で少年を目撃できるかとか、20メートル先から本当に犯行の現場を見ることができたのか。「疑わしきは罰せず」の原則という「理想」がびっくりするほどストイックに作られた物語だということを改めて感じるのは、今の私たちが法相が「司法の場で無罪を証明すべき」と間違ったことを平気で発言する世界に生きているからかもしれません。
若い頃に見たよりも、息子に裏切られたあまり、少年を有罪にしようとするマッチョイズムの男であったり、スラムに住む人々に対してあからさまな差別を隠さない男など、(陪審員が男ばかり、という時代の古さはもちろんあるけれど)その時のアメリカの世相と社会を描いているのだということを改めて感じて、手に汗握るパワーゲームと云うよりは、良くも悪くもいろんな人が居る「社会」の縮図を描いていることに驚くのです。 無罪と最初に表明する男(8号)を演じた坂本七秋はずっと緊張感のテンションを、しかし静かに。野球に行きたい男(7号)を演じた金田一央紀は全体に緊張感ある中で緩ませるような役柄で、余裕を見せる安定感。息子との関係で強いマッチョイズムに生きる男を演じた神野剛志や、スラムに対する偏見を隠さない差別的な男を演じた長野耕士が終盤で描く焦りをヒリヒリと感じさせるのです。
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