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2020.01.03

【芝居】「マクベス」DULL-COLORED POP

2019.12.18 19:00 [CoRich]

マクベスを現代風にアレンジしつつ90分に圧縮。終幕は物語を変えている、と当日パンフに。KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ。

魔女たちをキャバレーもしくはキャバクラ風のバーレスクな雰囲気で、男たちの登場の序盤ではそこに訪れるサラリーマン風情で遊び慣れた風(バンクォー)と生真面目風(マクベス)と。生真面目な男が思いの外大きな手柄を手にして、魔女たちにそそのかされ、妻に後押しされて王殺しに手を染めるのです。妻が夫を逡巡するシーンは大きなバスタブでの濃密なシーン、華やかな色っぽさに目を奪われるオヤジなワタシです。もっとも「一人きりで考える」という意味で風呂場というのはなるほどな説得力。

バンクォーに差し向ける暗殺者を生きていてもしょうがないと考えるストリートチルドレンに造形したのは、よく雰囲気にあっています。

終幕近く、攻め込まれ負けるはずのマクベスがあっさり勝つところからが、今作独自の物語。止められなかった独裁者はどこかで聞いたような口調で次々と好き勝手を始めていくところで終幕。誰もが今のこの国の為政者だと思い描くように明確にモノマネ(しかもそれが思いの外似ているのもちょっといい)として演じるのです。なるほど、臆病だったかもしれない男が半ば勘違いで使命感と全能感を手に入れ、手段を選ばず目的に向かって邁進するという大枠において、マクベスと彼の人を重ね合わせ、同時にあの立場や出世欲を周りが煽れば誰もがそうなりかねないという怖さも描きます。

彼の人の事はワタシはキライだし、戯画的で痛快に感じて大受けなわたしだけど、物語の全体を通してそれほどの相似形というわけでもないので、取って付けた感じがしないでもありません。それでも、私達の地続きの物語として、このあと何が起こるか考えろ、という少々ダサいほどの風刺劇にしてでも今、作演が語りたいことなのだ、と受け取るワタシです。私の住む場所の公共の劇場が多くの人に向けて公開するということを(税金を払う住民として)誇らしく思ったりもするのです。

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