【芝居】「会社の人事」若葉町ウォーフ
2020.1.13 19:00 [CoRich]
中桐雅夫による同名の詩集モチーフにした90分。20日まで。若葉町ウォーフとしての初めての制作のようです。
退職の日、大岡川沿いのバー。不倫の果に子会社に送られた人、ついていった人、あるいは事件に巻き込まれて亡くなった社員と家族のこと。災害にあったこと、カルトな犯人のこと。
人事がAIによってなされた時代、スタッフは自我更生プログラムを受け、AIの助言によって人事の判断を行うようになっている。
昭和から平成を歩んできたおじさんたち3人、これから先にこうなるかもしれないという時代を生きる若者たち3人という構成で「人事」を幹に紡がれる物語。おじさんたちの物語が主軸ではあって、昭和の時代から会社であったさまざま、ある種の権力闘争だったり、あるいは不倫のけじめとして別会社への転籍だったり、そこでもきちんと仕事を積み重ねたり。オウムのサリン事件、あるいは幼女の殺人、大きな地震、その時代の中で、しかし会社員として過ごした日々がきちんとあって。
未来の物語は、人事という人間が行ってきた仕事を誰がに担うのか、スタッフはAIがマッチングしたギフテッドな天才たちだが自我を更生するように求められ、それは中立性のことだったり。血が通わないようになっていくと観ているワタシは感じるけれど、どちらが正しいかはよくわからないのだけれど。
それほど強調されるわけではないけれど、退職を迎える男と同じ時代の二人は既にこの世に居ない人々で、男は一人バーで思い出しているよう。遠くになりにけり、な昭和・平成の時代の会社員のありかた。詩集にはこんなのがあるそうで→「いくばくかの夢もあったのに、いつも飲み屋じゃ会社の人事の話ばかり。」なるほど、そんな時代。
退職する男を演じた龍昇、必ずしも人を引っ張る人ではない、ごく普通の市井の会社人という雰囲気がたっぷり。少し若い人事の男を演じた大西一郎は、序盤で別の社員のモノマネ風の長いセリフを始め、役者としてここまでがっつり台詞がある役はワタシは初めて拝見して、確かな力を存分に。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
- 【芝居】「Come on with the rain」ユニークポイント(2025.02.24)
- 【芝居】「メモリーがいっぱい」ラゾーナ川崎プラザソル(2025.02.12)
コメント