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2020.01.04

【芝居】「荒れ野」穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース

2019.12.22 14:00 [CoRich]

2017年初演作を同一キャストで再演。90分?PLATの後、スズナリ。

元々完成度の高い物語で、少人数のキャストでの上演の濃密さ。初演の(地下一階の)雑遊に比べ広くなった舞台ですが、ビックリするぐらい初演の雰囲気がそのままに、濃密な空間がそのまま立ち現れるのです。どことなく明るくあっけらかんとした雰囲気を感じたのは、今回ワタシが座った補助席がだいぶ舞台に近いからかもしれません。舞台に近いという意味では、何人かで雑魚寝するシーンなどで寝息が聞こえたりもするけれど、それは誰かの寝息と伴にある安心感を、改めて感じたりもするのです。

避難してきた「ふつうの」家族、 若い娘が「全部やり直したい」といい、それに母親が「どこから?」と躊躇するシーン、初演の記憶はないけれど、印象に残る台詞です。あるいは、夫が心臓手術を受け入れる決心とシンクロする学生の頃の女からの電話。自分の心で決めたことは間違いないけれど、何がきっかけになるかわからないということも、人生にありそうな風景なのです。

住んでいる人々、父を亡くした女、ちょっとくすんだ感だけれど、上階に住む老人と若い男の同性愛らしいカップルと共に住むまさに共棲。薬剤師という設定が気付かなかったけれど、終盤の「父親を殺した」は決して比喩ではなく、そうだったかもしれないという妄想が膨らむワタシです。

いちどは明るく華やかだったニュータウン、開発の失敗というよりは調査が中途半端だったか隠蔽されていたかで見つかった土壌汚染ゆえにあっというまに衰退していくという風景。調子が良かったからといい加減にやってきたかもしれない、この国の相似形を観るようなのです。

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