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2019.12.15

【芝居】「シゲル」うめめ

2019.11.30 15:00 [CoRich]

初めて拝見する劇団です。90分。BUoY北千住アートセンター。

一年ぶりに帰った女。実家は草で覆われ、祖父の認知症は進み、母はテニスをやめていて近所の主婦達の噂話が気に障る。妹には恋人ができて世界を変えると豪語する自称社長と婚約している。女は家族に伝えなければいけないことがあった。

主人公である帰省した女だけを女性が演じ、他は女役も含めすべて男性が演じるというスタイル。もちろん出落ち感な女装もあるし、やってることは突飛なことも数々あるのだけど、会話自体はどちらかというと現代口語演劇風というか静かな語り口で奇妙なバランスを持っています。

妹の恋人は「ビックリハウス」なるビジネスで世界を変えると豪語してるのに未だ踏み出しても居ないどころか中華料理屋のアルバイトの日々なのに成功を信じて疑ってないとか、それをカモフラージュするために白塗りの部下がフラッシュをところどころ浴びせるとか、父の死んだ兄の名前を書いたTシャツを着てて祖父が勘違いするとか、そこかしこが奇妙で突飛なのに、観客の視点である主役も含めてまるで夢の中の出来事のように、戸惑いはするもののそれを受け入れて、描かれている全体の世界はとてもおだやかなものになっているのです。 あるいはタクシーに乗った時に畳敷きを運転手が掃いているとそれは運転中、みたいなちょっと面白いルールがそこかしこで楽しい。

終幕近く、白塗り男が家族を「こいつらまともなやつ一人も居ない」罵倒するけれど、父親が一生懸命に生きていると食ってかかり、違和感はあれど家族なのだということを確認するよう。写真を撮るラストシーンはまさに象徴的。

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