【芝居】「小刻みに 戸惑う 神様」ジャブジャブサーキット
2019.10.20 14:00 [CoRich]
岐阜の劇団、ジャブジャブサーキットの新作。110分。こまばアゴラ劇場。
葬儀場のロビー。劇作家の男が亡くなり通夜の夜。長女が喪主を務めているが、夫は行方不明のまま数年が経っている。息子は祖父が亡くなったことが悲しくてたまらない。二階では元町長の派手な葬儀が行わているが、こちらは故人の遺志で家族葬のように静かに。
葬儀場のスタッフが足りなくなり、フリーの葬儀プロデューサなる人物を紹介される。家族葬なのに若い見知らぬ女が訪ねてくる。
初めての慣れないことでそれが通例なのか、トンデモなのかが誰にもわからない葬儀の場をベースに、静かに去りゆく年嵩の男と、残された人々の想いと緩やかなつながりを描きます。
亡くなった本人と、既に若くして亡くなっていたその妻や友人を幽霊のように同じ場に混在して描き、あるいは亡き祖父の眼鏡をかけて祖父の若い頃が同化する孫など、死者が生者を見守るように描かれる物語はあくまでも生きている人々に優しく寄り添うのです。
「逃げ癖の付いた」夫の存在の不穏さもまた、一緒に暮らしていたという女が存在することで見守るように描かれます。あるいは明らかに怪しいフリーの葬儀プロデューサと助手、一癖も二癖もあって一筋縄ではいかないけれど、亡くなった男が、仕事を通して作品と人を残したのだなと思わせる距離感。二階の元町長よりも数段派手になったという告別式(とはいえ、台詞だけですが)の痛快さも楽しい。
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