【芝居】「ナイゲン 暴力団版」日本のラジオ
2019.10.26 20:00 [CoRich]
アガリスクエンターテイメントの人気作、高校生の文化祭の内容を決める会議から、大きな組に飲み込まれそうになる暴力団幹部たちの悲喜劇にリメイク。90分 、王子小劇場。
暴力団の定例会。組は弱体化しつつあり大きな組織との盃を前に相談役として送り込まれた男は、目障りな別の組の幹部の殺害を盃の条件に示してきた。初代組長からの幹部たちはその理不尽に怒るが、二代目の頃の幹部たちは現実的にそれを受け入れるべきだという。三代目を受け継いだ若い組長はまだ頼りなさを残している。
長い机の両側や端に椅子、その外側三方を取り囲むように客席。開場中に日替わりのゲストが「住み込み」役として登場し、茶を並べ、これからただならぬ人々が登場するという舞台設定。開演後、三々五々集まってくる人々、昔からの同士だったり、ここしばらくのそれぞれのシマの様子だったりを話しながら始まります。
高校生版のナイゲンは「内容限定会議」という文化祭のクラスの出し物を調整し確定する会議を、一年から三年のクラス代表が集まり、ときに圧力、ときに理不尽、しかしクラスの代表として意見を通さねばならない、というバランスに、学校の決定を伝える教師という絶対権力者という構図でした。今作は一年から三年を、初代から三代目の階層の幹部に置き換え、教師をより大きな組から派遣されてきてナイゲンなる人物の殺害を命じる理不尽な役割にしています。それぞれのクラスの代表として意見を通す、に対してそれぞれの組の勢力をどう守るかという一種のパワーゲームを絶妙な大人の理屈や狡さを随所に交えたリメイクは実に面白いのです。
暴力団の集会らしく一癖も二癖もある役者たちが圧巻の迫力。三代目を演じた浅見臣樹はまだナードな感じが抜けないけれど組を背負うという想いをきっちり。理不尽な相談役を演じた宮崎雄真の食えなさの造型がこの場の不穏さを作り出します。屁理屈をこねたり突っ込んだりという二代目世代を演じた淺越岳人のねちっこさや、初代の世代を演じた山森信太郎のどっしりとした感じ、安東信助が演じたのも同じ世代で、静かにしているかと思えば物語の要、通すべき筋を通し、絶望に向かう終幕の物語なのに、人々は前向きになっているという雰囲気をきっちり駆動するのです。
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