【芝居】「じゅうごの春」やみ・あがりシアター
2019.10.20 17:00 [CoRich]
アトリエファンファーレ東池袋。100分。10月20日まで。
去年までは完璧に夏休みの宿題を片付けていたのに、ノストラダムスの大予言を信じ地球は滅亡すると信じて何も手を付けていなかった男子中学生。去年を上回る自由研究に仕上げなければいけないと意気込んだが、そのプレッシャーで逆に何も手を付けられなくなる。宿題が終わらないまま夏休みは終わったが、宿題が終わるまでは学校に行くことができない。同級生が拾った銃をもらい受け、これで自由研究ができると考えるが。
15歳で夏休みの自由研究に躓きそこから引きこもりになってしまった男子。同じような引きこもり3人を並立して描き、いずれも自由研究ができないまま引きこもってるけれど、物語が進むにつれ、これは一人の男の15歳、25歳、35歳を描いていることがわかります。 年齢が進むにつれ、ガン黒ギャルだった姉はつましくOLになったり結婚を考えたり。父親はやがて自分が居なくなった後のことを心配するようになったり。同級生たちはそれぞれに仕事を持つようになり、と変化していくけれど、年齢を重ねることは同じでも、この男はずっと引きこもり、自由研究と称して何も成すことなく、年齢を重ねていくうち、強い重圧に押しつぶされそうになっていくのです。
ともかく待っていると言い続ける教師はもちろん強い善意でやっているのだけれど、それが重圧であり逃げ場を塞いでいる感じ。銃の存在は、それで教師を撃ち殺したか、あるいはやけに色っぽい同級生を撃ち殺したか、という不穏なシーンがあるけれど、おそらくはそれは事実ではなく、そうできればそこで断ち切れた筈の、逃してしまったタイミングの後悔。
35歳になった男を訪ねてくるサポートカウンセラーは、「自由研究のノート」の中に、この引きこもっている男を観察し続ける父親の「自由研究」が混じることをみつけるのです。むしろ父親の方が近い年代。もっとも何も成し遂げていないという意味では私も同じわけで、両方に挟まれるように感じる私、見守り見守られる20年間を思うと、ちょっと泣けてくるのです。
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