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2019.09.11

【劇作家大会】「蜜柑のユウウツ」

2019.8.18 16:00

グループるばるの最終公演として再演された、詩人・茨木のり子の物語をリーディングで上演。120分。

死んだ詩人の女が、晩年を過ごした家に舞い戻り最後の一日を何度も繰り返している。何か気がかりがあるがそれが思い出せない。たまたま同じ日に亡くなった女ふたりは、よりよく転生するために徳を積みたいと、その繰り返しに寄り添っている。家は管理人が見守っている。甥と編集者は未発表の遺稿を残していないか探しに来ていて、かつて交流のあった女も訪れている。

詩人・茨木のり子の事は不勉強にして知らないアタシです。今作は彼女の詩作を何カ所かに挟みながら、軍国少女だった少女時代から敗戦、医者との結婚生活、自分の力で考え何者にも「倚(よ)りかから」ずに生きていく姿の評伝を描きます。あくまで舞台は晩年の家だけれど、そういう力強さを持った詩人が生き抜いたこと。とりわけ軍国少女だった自分を考えなかったと呪い、もうあんなことは嫌だときっぱりと主張し、さらには夫を亡くし落ち込むけれど「考えを残すのは自分」だと思いとどまる人物を浮かび上がらせるのです。 もともと上演したる・ばる(松金よね子 岡本麗 田岡美也子)を思い起こさせるようなコミカルな丁々発止の三人のやり取りがリーディングでもなお味わい。

いっぽうでなお、夫を亡くしたことの落胆は大きく、その心残りが「一緒の墓に袋で入りたい」という願望とそのために隠していた喉仏の骨、というのも、深みを残すのです。

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