【芝居】「薔薇と海賊」Theatre Ort
2019.8.31 19:00 [CoRich]
三島由紀夫の原作(wikipedia)を、洋館風の一軒家Salone Fontanaで140分。8月31日まで。
童話作家の女を訪ねてきたのは30歳になっても少年の心のままの男。作家の童話に出てくる王が自分だと信じて疑わない。童話作家の女は強姦によって娘を産み、相手の男と結婚したがそれきり純潔を貫いている。成長した娘にも童話に登場する姫として振る舞わせ、女として成長していることを隠すように強いている。純潔を貫く童話作家は少年の心の男に惹かれていく。
ワタシは初見の舞台。大人の男女が性を介さないまま甘くロマンティックな恋心に溶けていくシーンを描くために、少々奇妙な背景を持つ二人という設定をわざわざ設定したのだという論文(pdf) を読んで驚くワタシですが、なるほど背景とシーンの強烈なギャップを生むその効果は絶大なのです。
会場のサローネ・フォンタナは貴重なピアノを7mという天井高さで教会のような空間に擁するクラシックサロン。重厚な空間に耽美でインモラルな物語、短くは無い上演時間だけれど、快適で、しかも雰囲気が絶妙なのです。対して小道具類はort.らしくオモチャっぽいものでつくられていて、「身体は大人なのに中身は子供」という物語を体現するようでもあるのです。
夫を演じた八代進一は過去の酷い行いにもかかわらず今は妻に一途な初老の男を奥行き深く。その弟を演じたヤストミフルタはちょっとチャラい感じでこの兄弟にもう一つのベクトルの奥行きを。童話作家を演じた平佐喜子の魅惑的なのにそれを押し殺す造型。訪ねてくる男を演じた大谷昌史の残酷なまでの無邪気さも凄い。
たちかわ創造舎を拠点にするようになり、子供向けの作品が増え、それも見応えのある数々なのだけれど、いわゆる大人向けの厚み、たまには目にしたいとも思うのです。
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