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2019.09.13

【芝居】「遥かなる高速の旅路」さくりさく企画

2019.8.25 15:00 [CoRich]

さくりさく企画初の劇場公演(1)、二本立てのB面。75分。8月25日までAPOCシアター。

故郷の仙台から車で戻る途中の女。サービスエリアで、高速バスの休憩時間で置いて行かれた女が追いかけて欲しいと頼み込んでくる。断り切れずに同乗させることにする。

高速バスの休憩でうっかり乗り遅れる(人数確認しなかったり、してもそう長い時間は待たないことが多い)、という時々耳にするシチュエーションをきっかけに、見ず知らずの女二人の道中を描きます。ドライバーの女は教師として働き、稼がないカメラマンの彼氏と同棲、クルマも共有していて彼は仕事にクルマが必要というけれど、クルマの維持費だってどっちがだし、結婚は親に反対されるし、あるいは同僚教師からのセクハラだったりと我慢し抑圧する日々。乗り遅れた女はバンドの追っかけ、金は無いのに食いしんぼゆえに乗り遅れ、一度は追い付いたのに更に乗り遅れ、ずけずけの他人に踏み込んで。

絵に描いたようなロードムービーまたは膝栗毛。東北道の仙台から東京のSA/PAと、その道中をごくシンプルに小さな[P]のサインを立てたり隠したりするだけでシーンを切り替えて。きちんと生きているのに抑圧的な女が、間抜けな感じではあるけれど奔放で自由な女の刺激を受けて解放していく、という流れ。新宿に戻り、休み、セクハラの告発を決め、男と今日中に別れることを決める終幕。それはもう戻らない事を決めて実に凛々しく格好良く。観ていて元気が出てくるアタシなのです。

運転する女を演じた浅利ねこ、わりと大騒ぎがちな若い女性という造形の多かった彼女が、大人の女性を奥行きを持って演じるようになっていることに勝手に感慨を覚えます。同乗する女を演じた如月萌はずけずけとした物言い、しかし力強く後押しするようなバディ感の厚みがとてもいいのです。

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