【芝居】「カミグセ短編集 vol.2」関係舎とカミグセ
2019.8.9 19:30 [CoRich]
短編二つで80分。11日までSTスポット。
死神が訪れるが、目当ての男は出かけていて恋人らしい女が具合悪いらしく伏せっている。薬を買いに出かけているというが、女は男が何をしているかは気付いている。「Re:タナトスのガールフレンド」
田舎の絵画教室、締めることになって息子が片付けをしている。昔からの生徒は母親になっていたり、高校生で通っていた女は上京し美大に通っている。甲斐甲斐しく手伝う女も生徒で恋仲になっているが、皆には伝えていない。片付けるうち、もうここには居ない一人のことを皆が思い出す「思い出にニスを塗れ」
「タナトス~」は以前の短編集(1) に含まれていた一本を改訂。死神を名乗る女が死期迫る男を迎えに来るが、恋人の女に出逢ってしまう話。以前とどう変わったか詳細には覚えてないけれど、浮気にギャンブル、ダメな男のことが客観的にはわかっているのに、好きだという女。友達も居らず、自分という存在に真剣に向き合ってくれる死神に心を許し、友達になる、この二人のバディ感がより強く打ち出されているように思います。対比して男の存在は希薄で、ドアのチェーンロックがかかって入れないまま玄関で四苦八苦している男を二人の女が眺めている、というラストシーンも、女二人が主軸、男が希薄という印象を強くします。たしかにこの方が今っぽいかも、という感じ。
「思い出~」は、自殺した女を巡る人々の物語。この教室の先生だった母親は登場せず、その息子は自殺した女と元は恋人。この自殺した女とそれぞれの人々の関係を描く序盤。それは母親となった古株の生徒の子供可愛さと育児の中で数少ない自由を求めるエゴを叱ることだったり、何もないこの土地を出て美大に進むことを後押ししてくれたことだったり、あるいは二人で出かけるほど仲が良かったのに今は先生の息子と恋仲になっていることだったり。
物語の核となるのは自殺した女、親友だった女、二人を巡る男の三人にはなっています。自殺の原因は明確には語られませんが、別れ話をして指輪を外して女が出て行くシーンだったり、女二人きりのドライブ旅行が描かれたりと、なんとなく略奪愛だか男の浮気だかといった三角関係がその原因になっているような感じではあります。恋に破れての自殺というのが、母親のエゴをたしなめたり、高校生を力強く後押ししたりと前半では自立して力強い女として描かれているのとギャップというかコントラストが強い人物を浮かび上がらせるのです。皆が思い出した一人の人物が徐々に造形されていくさまが今作の魅力なのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「業界~恥ずかしながら、ボクらがこの世をダメにしてます~」Tom's collection(2025.03.22)
- 【芝居】「ズベズダ」パラドックス定数(2025.03.20)
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
コメント